働くクルマが走りのクルマに!? トヨタ「ハイエース」ラリー仕様に乗ってわかった奥深さとは

3台のデモカーに乗ってわかったハイエースの奥深さ

 10月23日と24日におこなわれた北海道ハイエースフェスティバルでは、CAST製のハイエース機能性パーツを装着したデモカーの試乗も開催されました。デモカー1号車と2号車、そして比較用として市販車のハイエースの3台に乗ってみました。

尻別川ランラン公園で開催された北海道ハイエースフェスティバル。3台のハイエースに試乗しました
尻別川ランラン公園で開催された北海道ハイエースフェスティバル。3台のハイエースに試乗しました

 まずはノーマルのハイエースに試乗します。試乗車は2.8リッターのディーゼルターボを搭載、トランスミッションは6速ATが組み合わされたモデルで、駆動方式は4WDです。

 これまでハイエースに乗った経験は少ないのですが、現行型H200系が発売された当初に乗った印象では、先代よりも内装の質感などが格段に向上したことに加え、乗り心地や音振動も改善されたのが好印象でした。ただしそれでも商用車っぽい突き上げがあり、当時は4速ATでレンジが広かったこともあり、エンジン音が車内ににぎやかに響いていました。

 久しぶりに乗ったハイエースは、街乗りレベルだと突き上げ感もあまりありません。また6速ATもなめらかで、発売から13年経った熟成度を感じさせます。

 続いて乗ったのは、デモカー2号車。このモデルは2リッターガソリンエンジンに6速ATが組み合わされたモデルで、CAST RACINGのサービスカー兼営業車として使われる1台です。

 足まわりには、喜多見孝弘さんのサンコーワークスが開発したNeoTuneショックアブソーバーにリアショックトランスファーキット、リーフエンドベアリングブッシュを装着、駆動系にはサイレントLSDが組み込まれています。Neo Tuneのショックアブソーバーは3種類用意されていますが、デモカー2号車には柔らかめのセッティングのコンフォート仕様が装着されています。

 まずは一般道を試乗します。走った瞬間、ノーマル車と比べて乗り心地がしなやかになったとわかります。また段差乗り越えもバスッという感覚がなくなり、ボディの揺れもスッと一発で収まります。

 ハイエースは商用車ベースということで、熟成されているとはいえ乗り心地などにはどうしても目を瞑らざるを得ないところもありますが、これはなんというか、乗用車に近いフィーリングで走ることができました。操縦性も、ハンドルを切ったら切ったぶん曲がる感覚があり、運転のしやすさが向上しています。どちらかといえば、日常でハイエースを目一杯運転する人にオススメだと感じました。

 続いてデモカー1号車に乗ります。こちらはCAST RACINGのラリーレッキ車として使われる車両で、いってみれば全日本ラリー参戦車のロードカーバージョン。MT仕様です。

見た目はふつうのハイエースだが、中身はラリー仕様のデモカー1号車
見た目はふつうのハイエースだが、中身はラリー仕様のデモカー1号車

 Neo Tuneショックアブソーバー(ラリー仕様)にリアショックトランスファーキット、リーフエンドベアリングブッシュとサイレントLSDが組み込まれたマシンで、車内はフルバケットシートに小径ハンドルと、見た目にもやる気を感じさせる仕様になっています。

 ハイエースのMT仕様に乗ること自体はじめての経験でしたが、カッチリとしたシフトフィールで好印象です。ラリー仕様のサスペンションというとガチガチにかためられた印象がありますが、実際はオンロードでもしなやかに足が動き不快な硬さはありません。

 フルバケットシートに座り小径ハンドルを動かせば、もうその時点で“やる気”にさせてくれます。試乗コースにはダートもありましたが、バンピーな路面でも駆動抜けすることなく、楽しい「スポーツカー」に仕上がっていたのが印象的でした。

※ ※ ※

 ハイエースは、商用での使用はもちろん、キャンパー仕様にも車中泊仕様にもなる趣味グルマの印象は持っていたのですが、走りの楽しさまで得られるとは思っていませんでした。

 信頼性と耐久性の高さをベースにしながら、オーナーが思うような方向にカスタマイズできるのもハイエースの魅力。今回の試乗で実感しました。

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