街で見かける「海外ナンバー」のクルマって合法?日本と他国の条約関係とは
海外のナンバープレートを装着したまま、日本で走行しているクルマをごくまれに見ることがあります。海外のナンバープレートを装着していても、日本で走ることができるのでしょうか。
「海外ナンバーで走行はOK」だけど、一定の条件アリ
日本の街中にもかかわらず、海外のナンバープレートを装着したクルマをごくまれに見ることがあります。
海外のナンバープレートだけを装着して、日本の公道を走ることができるのでしょうか。
日本を含む世界の国のほとんどでは、公道を走行する際にクルマにナンバープレートを装着することを義務としています。
日本のナンバープレートの装着については、道路交通法第19条において、ナンバープレートの装着は位置などが決められているうえに、表示されている番号などがしっかりと識別できるようにおこなう必要があります。
また、国によってナンバーの大きさや表記内容は異なりますが、いずれもクルマがその国の保安基準を満たし、公道を走行できる車両として登録されたものであることを表しています。
ちなみに、日本のナンバープレートのサイズは、縦165mm×横330mmですが、アメリカは縦152.4mm ×横304.8mm(6インチ×12インチ)、フランスやドイツといったヨーロッパでは縦110mm×横520mmとなっています。
このように、形としては長方形が一般的ですが、日本は海外に比べてやや大きく設計されているうえに、「ひらがな」も表記されているため、ほかの国のナンバーと並んでいてもすぐに識別することができるでしょう。
そんなナンバープレートですが、日本国内であるにもかかわらず、海外のナンバープレートを装着しているクルマが見られることがごくまれにあります。
日本国内で海外のナンバープレートのクルマが走行することは、法律で認められているのでしょうか。
国土交通省自動車局の担当者は、このことについて以下のように説明します。
「ジュネーブ条約で締結している国同士であれば、ほかの国のナンバーでも公道を走行することができます。
ただし、『道路交通に関する条約の実施に伴う道路運送車両法の特例等に関する法律』で定められている、一定の条件を満たしている必要があります」
ジュネーブ条約とは、4つの条約と3つの追加議定書から構成された世界共通ルールのひとつで、戦争などによって苦しむ人を救うためのものとして発展してきたものです。
ジュネーブ条約には、世界193か国が加盟しており、そのうち、アメリカ・カナダ・イギリス・韓国・シンガポールといった国と、香港・マカオ・アメリカの海外領土であるグアムなどの特別行政区、計112地域が日本と締結しています。
つまり、112の国と特別行政区のナンバープレートであれば、日本で装着して走行することが認められているということになります。
一方、国土交通省担当者が話す「一定の条件」には、どのようなことが挙げられるのでしょうか。
担当者は、条件について「『道路交通に関する条約の実施に伴う道路運送車両法の特例等に関する法律』のなかで、大きく分けて3つが挙げられています」と話します。
まず、第2条には、「当該自動車を輸入した者の使用に供されるものであること」「輸入の許可を受けた日から一年を経過しないものであること」のふたつが定められています。
この第2条によって、海外ナンバープレートを装着したクルマは、日本へ輸入手続きをおこなった本人が使用することと、有効期限として1年の期間が設けられていることがうかがえます。
もし、クルマを輸入してから日本で1年以上が経過した場合には、日本の運輸局で車検を通過し、日本のナンバープレートを新規に発行する必要があります。
このふたつに加え、もう1つの条件は、第3条に「登録証書を備え付けなければ、運行の用に供してはならない」として定められています。
登録証書は、輸出国が発行するものであり、その車両が輸出国の保安基準を満たしているということを証明している書類です。
海外ナンバーの車両に登録証書を備えておくことで、海外の保安基準を満たしていること、つまり日本での車検を第2条に定める有効期限である1年間は、免除されることが示されます。
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