「bZ」第1弾のトヨタ新型SUV「bZ4X」は退屈さ皆無な「いいクルマ」!? 「トヨタらしさ」溢れる中身とは

2021年10月29日、トヨタは、新たなEVシリーズ「bZシリーズ」第一弾となるSUV 新型「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」の詳細情報を公開しました。スバルとの共同開発で誕生し、EVとしてだけでなくクルマとしての良さも追求したモデルだといいますが、どんな特徴があるのでしょうか。

EVシリーズ「トヨタbZ」第一弾モデルの性能は?

 1997年、「21世紀に間に合いました」というキャッチフレーズと共に登場した世界初の量産ハイブリッドカー「プリウス」の登場からトヨタの電動化戦略はスタートしました。

 それ以降、トヨタのハイブリッドラインナップは急速に拡大を始め、現在ではほとんどのモデルに設定されています。

トヨタ 新型「bZ4X」(プロトタイプ)
トヨタ 新型「bZ4X」(プロトタイプ)

 さらに2012年にはプラグインハイブリッド(PHEV)、そして2014年には燃料電池車(FCEV)を市場へ導入。その数は累計1700万台を超えています。

 しかし、電気自動車(BEV)に関しては2012年に「eQ」(「iQ」ベースのEV)を限定100台生産したのみで、次の一手が出てこなかったのも事実です。

 そんなことから、誰がいったか知りませんが新聞や一般紙を中心に「トヨタはBEVに消極的」というようなキーワードが出てきました。

 それは多くの人が「EVとハイブリッドは別物」という認識を持っているからでしょう。

 すべての電動化パワートレインには共通する重要な要素技術は「モーター/バッテリー/インバーター」の3つ。

 これにエンジンを組み合わせれば「HEV」、充電機能を追加すれば「PHEV」、フューエルセルと水素燃料タンクを組み合わせると「FCEV」、そして、そのまま使えば「BEV」になります。

 つまり、ハイブリッドの進化=トヨタ電動化の進化だったことが解ると思います。先の発言は目先の部分だけに囚われると本質を見失うの象徴です。

 そんなトヨタがついにBEVの市場に本格参入をおこないます。それがトヨタの新EVシリーズ「トヨタbZ」です。

 bZとはBeyond Zeroを意味しており、豊島浩二チーフエンジニアの言葉を借りると「ゼロエミッションだけでなく、新たな価値をプラス」という想いが込められています。

 つまり、環境にいいのは当たり前、その先にあるクルマとしての魅力を高めたシリーズということなのでしょう。

 トヨタbZはEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を用いて、ユーザーニーズに応じた大きさ、スタイルのモデルが予定(2025年までに7車種)されていますが、それぞれの得意分野を持つパートナー(BYD、ダイハツ、スバル、スズキ)と共同で開発。

 その第一弾となる「bZ4X」はスバルとの共同開発モデルです。ちなみに車名の「4」はボディサイズ、「X」は属するカテゴリーを示します。つまり、bZ4Xは「bZシリーズのセンターに位置するクロスオーバー」というわけです。

 トヨタとスバルの関係は今から16年前からスタート。最初のコラボレーションはスバル米国工場(SIA)でのトヨタ「カムリ」の受託生産(2016年5月まで)でした。

 その後、あまり知られていませんが、トヨタ「ラクティス」/スバル「トレジア」の開発でスバルのエンジニアがトヨタに出向し一緒にクルマづくりを実施。そして、その流れはトヨタ「86(GR86)」/スバル「BRZ」の共同開発に繋がります。

 その関係はbZ4Xとそのスバル版となる「ソルテラ」でより強固になったわけですが、個人的にはスポーツカーとEV、「生きる歓び」と「生きる価値」の両方が2社の協業によって生まれて来ることは、何とも感慨深いです。

 今回、bZ4Xの新たな追加情報が発表されましたので、その辺りを中心に見ていきたいと思います。

 まず、多くの人が気になる性能面についてです。2021年4月に発表された概要では、「より多くのお客様が安心して選んでいただけるよう、使用環境を考慮した航続距離」、「冬場でもお客様に不便を感じさせない航続距離」ということでしたが、今回は具体的な数値が公開されました。

・駆動方式はFFと4WDを設定
・モーター出力はFF:150kW、4WD:160kW(フロント80kW/リア80kW)
・0-100km/h加速はFFが8.4秒、4WDは7.7秒
・バッテリー(リチウムイオン)総電力は71.4kWh
・航続距離はFFが500km前後、4WDが460km前後(共にWLTCモード)
・世界各地域の高出力充電(急速充電では150kW)に対応

 個人的にはバッテリー総電力に対する航続距離の関係は高いレベルだと感じました。

 これはBEVにしては軽量設計(FF:1920kg~、4WD:2005kg~)であることに加えて、空力性能の追求や消費電力を減らすデバイス(ヒートポンプ式エアコン、ステアリング&シートヒーター、トヨタ初採用となる前席乗員足元の輻射(ふくしゃ)ヒーター)の採用など、車両全体で積み重ねた結果になります。

 この辺りは長年ハイブリッドの開発で培った技術が水平展開されているようです。

 さらにプリウスPHVで展開されたソーラーパネルも設定。1年間で走行距離1800km(車内試験値)に相当する発電量が生成可能だといいます。この機能は駐車場に充電施設を持たないユーザーにとってはありがたいアイテムといえるでしょう。

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