予測違い!? ホンダ「NSX」はもっと売れたはずだった? わずか4年で終了が決定された理由とは

ホンダのスポーツカー「NSX」が2022年12月に生産終了することが決まりました。最近はトヨタ新型「GR86」や日産新型「フェアレディZ」など、新型が登場するスポーツカーが増えているなか、なぜNSXは廃止されるのでしょうか。

86やZなど新型が出るのにNSXはなぜ終了?

 昨今はスポーツカーやクーペが売りにくい時代とされ、トヨタ「セリカ」や日産「シルビア」、ホンダ「プレリュード」などは、すべて過去のクルマになりました。

 そのため、今はスポーツカーの車種数が減少していますが、最近は明るい兆しも見えています。2019年にトヨタ「スープラ」が復活して、直近ではトヨタ「GR86」およびスバル「BRZ」がフルモデルチェンジしました。日産新型「フェアレディZ」の登場も控えています。

2022年12月に生産終了となるホンダ「NSX」
2022年12月に生産終了となるホンダ「NSX」

 しかしすべてのスポーツカーが進化するわけではありません。ホンダ「NSX」は2022年12月に生産を終えます。

 同じスポーツカーなのに、スープラやGR86・BRZ、フェアレディZのように進化する車種と、NSXのように廃止される車種があるのはなぜなのでしょうか。

 GR86とBRZの背景にはトヨタとスバルの業務提携があります。誰もが楽しめる純粋なスポーツカーとしての需要は根強く、2代目に進化させます。

 その一方でNSXの廃止について、開発者に尋ねると以下のように返答されました。

「今後はカーボンニュートラルの時代を迎えることもあり、NSXは今の時代における役割を終えました。そのために生産も終了します。今後は新しい時代に相応しいスポーツカーを模索していきます」

 このコメントには疑問があります。NSXは高性能スポーツカーであると同時に、ハイブリッド車でもあり、WLTCモード燃費が10.6km/Lに達します。

 日産の高性能スポーツカーである「GT-R」の7.8km/Lに比べると優れており、NSXは新しい時代に相応しいスーパースポーツカーともいえるでしょう。

 しかもNSXが納車を開始したのは2016年(日本市場は2017年)ですから、4、5年しか経過していません。2007年登場のGT-Rに比べると基本設計は大幅に新しいのです。

「各種の規制に対応するのが困難になったのですか?」と開発者に尋ねると「将来の北米における燃費規制は関係しますが、差し迫って対応の困難な法規はありません」と返答されました。

 開発者と話をしていると「いまの時点で生産を終える必要はないのでは?」と思えてきます。

 そこでさらに尋ねると、生産台数とのバランスもあり、オハイオ工場の生産ラインを維持する上でも課題が生じていたようです。要はNSXの売れ行きが想定していたほど伸びていないということです。

 NSXを発売した時点では「オハイオ工場における生産台数は1年間に1500台で、この内の100台を日本市場に供給する」というものでした。

 いまは北米における納車の開始から5年を経過しているので、計画通りなら、現行NSXの生産累計は7500台に達しているはずです。

 ところが実際の生産累計は、2021年7月時点で2558台に留まります。計画台数の34%程度です。

 生産台数が少ない理由を開発者に尋ねると「北米市場を中心に、高性能なスポーツカーとしての認知度やブランド力が、海外の強豪車種に及ばなかった」と返答されました。

 ここで注目したいのが日本国内の登録台数で、464台とされています。

 日本国内は2017年の納車開始なので、4年間の計画台数は400台。実際は464台なので計画を上まわっているのです。

 つまり海外市場におけるNSXの人気は低く、生産累計も計画台数の34%ですが、日本では好調に売れていたことになります。

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4件のコメント

  1. 無くなるのは残念だけど小市民には縁の無い存在だから仕方ないと思う

  2. 他の評論家の方によると、燃料タンクの新たな規制に対応するのに莫大な費用がかかるため、生産終了する事になったと仰っていましたが?

  3. スーパーカーは富豪イメージが欲しい成金が買う。NSXには富豪イメージが無い、日常使いでスーパーカーの演出も無い。喜ぶのは引退レーシングドライバーのジャーナリストぐらい。彼らのアイデンティティをくすぐる。一方ポルシェは日常の利便性に抜かり無く、マニアをしっかり捉える。商品企画の時点でデスコンが決まったようなもの。辛辣でごめんなさい

  4. 国内にはGT-Rがあるので ここと比較されやすい。が
    2倍もする価値が見いだせない。
    これが売れない理由。

    多分原因は 北米市場で企画立案、マーケティングとかを進めてしまったのが原因。

    もし次回があるなら 日本国内の同業他社、
    日産GT-R、トヨタ スープラと値段を寄せるべき。その上で他社より優れてる物(F-1テクノロジー)を武器に作るべき。

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