なぜ3割減? 岡山「用水路事故」大雨時気づかず転落相次ぐ 対策効果いかに
かつて「人食い用水路」といわれた岡山の転落事故。岡山市消防局によると、2020年の救急出動件数は88件と2016年から3割減少したことが明らかになりました。どのような対策がおこなわれたのでしょうか。
事故は減少傾向に… それでも危険箇所は残る?
一時は「人食い道路」と呼ばれ、恐れられていた岡山県の用水路。
そんななか、岡山県岡山市は用水路の転落事故による救急出動件数が3割減になったことを発表しています。これにはどういった理由があるのでしょうか。
岡山県では干拓地から農業用水を供給する施設として多くの用水路が設備されており、全国に比べて用水路密度が約5倍だといいます。
こうした岡山県特有の事情に加えて、県内にある用水路では、安全のための柵などが設置されていないことも多いことが転落事故の要因と考えられます。
用水路で転落事故が多発する要因について、かつて岡山市の担当者は、次のように説明していました。
「用水路は総延長約4000kmとほかの地域と比較して多いことや、用水路が住宅地に隣接していること、そして柵のない用水路が多いなど、さまざまな原因が考えられます」
また、最大幅1m・深さ2mを越える規模の用水路も点在することなども影響し、大雨時の冠水時には道路と用水路の境目に気づかず、クルマごと転落する事案も発生しているようです。
2013年8月には、小学生が自転車で路側帯を直進中に用水路に転落する重症事故が発生し、2013年の用水路転落事故死亡者は13人、2014年には6人、2015年には12人となっています。
岡山県警察によると、2013年、2015年の岡山県の用水路転落事故死亡者数は全国ワースト1位と公表しています。
このような転落死亡事故などが相次いでいたこともあり、各報道で繰り返し扱われたことで、岡山県の用水路は一躍有名になりました。
そうしたなかで岡山市は、用水路の転落事故による2020年の救急出動件数が2016年と比べて3割減になったことを2021年9月7日に発表。
消防局の救急出動件数は、2016年の137件に対し、2020年は88件と約50件減少しました。
岡山県の用水路は、一部で「人食い用水路」とも呼ばれ、地域住民からは恐れられており、SNSでは「キュアまこぴー(@Cure_makopi)」さんが、降雨時の用水路の危険性について以下のような投稿をしています。(※2018年9月30日投稿)
「岡山県でお馴染みの道路わきの用水路、この時間ならまだ道路との境が見えるけど夜になると何処までが道路かわからなくなる! ちなみに赤い線より向こうは用水路、おまけ程度にポールが設置された」
この投稿とともに2枚の写真を投稿しており、写真をみるとあたりは雨が降っていて道路に水が多く溜まっている状態となっていますが、激しい雨により道路と用水路の境目が分からなくなっています。
キュアまこぴーさんが話しているように、日中ではなんとか用水路の位置を把握できますが、夜になればどこに用水路があるのかの把握が難しく、気づかずに用水路に転落してしまうことも容易に考えられるといえます。
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