偉大な「NSX」も消えちゃう! 日本が誇るスーパーカー3選

ホンダは2021年8月3日に、限定モデルの「NSX タイプS」の情報を世界初公開するとともに、2022年12月をもって、NSXがその歴史に幕を下ろすことを明らかにしました。そこで、日本が誇るスーパーカーを、3車種ピックアップして紹介します。

日本が世界に誇るスーパーカーを振り返る

 近年、スーパーカー市場は世界的に堅調です。2021年8月14日にはランボルギーニが新型「カウンタック LPI800-4」を発表し、ほかにもマクラーレンやブガッティなども限定モデルを次々と発売しました。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、経済は大きなダメージを受け、半導体不足による自動車生産も影響を受けている状況にも関わらず、不思議に思う人も多いのではないでしょうか。

今ではかなり貴重な存在の日本製スーパーカーたち
今ではかなり貴重な存在の日本製スーパーカーたち

 それは、コロナ禍においても影響を受けていない、もしくは業績が向上している企業があることや、富裕層が移動を制限され、お金が余っているケースも多いことから、投機の意味で高額なクルマを買い求めている背景があります。

 この状況をキャッチアップして、各スーパーカーメーカーはコロナ禍にあっても新型車や限定モデルを発表・発売しているということです。

 一方、ホンダは2021年8月3日に、限定モデルの「NSX タイプS」の情報を世界初公開するとともに、2022年12月をもって、NSXがその歴史に幕を下ろすことを明らかにしました。

 今、自動車メーカー各社は脱炭素社会に向けて大きく舵を切り始めていますが、量産自動車メーカーであるホンダとして、NSXの役割は終わり、生産終了にいたるという決断があったようで、和製スーパーカーの1台が消えることになります。

 そこで、日本が世界に誇るスーパーカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「NSX」

ついに歴史に幕を下ろすことになった日本を代表するスーパーカーの「NSX」

 ホンダは1986年からアメリカで高級車ブランド「アキュラ」の展開を開始。フラッグシップとなるスポーツカーとして、1990年に初代「NSX」が日米で発売されました。

 初代NSXは量産車世界初となるオールアルミ・モノコックシャシに、自然吸気ながら最高出力280馬力(MT車)を誇る3リッターV型6気筒VTECエンジンをリアミッドシップに搭載。優れた動力性能と運動性能、さらに実用性も考慮された新時代の和製スーパーカーとして、世界的にも注目されました。

 その後、2005年に初代NSXは生産を終了しましたが、2016年に名実ともにリアルスーパーカーとなって復活を遂げます。

 2代目NSXの外観デザイは徹底的に低くワイドなフォルムで、ミッドシップスーパーカーの教科書どおりといったシルエットを実現。

 フロントノーズ前端とフロントフードは初代よりも高さを上げた印象ですが、切れ上がったLEDヘッドライトによるシャープなフロントフェイスで、スピード感あふれるものです。

 パワーユニットは最高出力507馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンに、フロントへ37馬力のモーターを2基、リアに47馬力のモーター1基の3モーターを組み合わせた「SPORT HYBRID SH-AWD」で、システム最高出力581馬力を誇り、まさにスーパーカーにふさわしいスペックといえます。

 また、走行モードの選択によってはサーキット走行に対応する一方で、街中での乗り心地はラグジュアリーカー並を誇るなど、近代スーパーカーならではといえる設計思想を採用。

 なお、最終モデルとなるNSXタイプSは限定350台で、このうち北米市場向けに300台、日本市場向けに30台が販売され、エンジンの最高出力は600hp(米規格)へアップしています。

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●トヨタ「LFA」

トヨタが持てる技術の粋が集められたFRスーパーカーの「LFA」(画像はニュルブルクリンクパッケージ)

 トヨタは2010年に、持てる技術の粋を集めて開発した2シーターFRスーパーカー、レクサス「LFA」を発売しました。世界限定500台とされ価格は3750万円からと、価格も世界のスーパーカー基準です。

 ボディは古典的なFRスポーツカーのフォルムであるロングノーズ・ショートデッキを採用していますが、デザインは最新の空力理論を取り入れ、アグレッシブな造形を実現。

 エンジンは最高出力560馬力を8700rpmで絞り出す、新開発の4.8リッターV型10気筒DOHC自然吸気を搭載。F1で培った技術がフィードバックされ、10連独立スロットル、チタン製コンロッド、チタン製吸排気バルブを採用し、レッドゾーンを9000rpmに設定することで「天使の咆哮」と呼ばれる甲高く澄んだエキゾーストノートを奏でます。

 トランスミッションはリアデファレンシャルギヤと一体となった6速AMTのトランスアクスルが採用され、前後重量配分は48:52という理想的なバランスです。

 シャシはカーボン製モノコックで外板もカーボンとアルミを多用し、ブレーキもカーボンセラミックを採用したした結果、1480kgと軽量な車重を達成。

 さらに、2012年にはLFAをさらにアップデートする「ニュルブルクリンクパッケージ」をオプション設定し、カーボン製の固定式大型リアウイングやカナードなどの空力パーツが追加され、足まわりのさらなる強化と、エンジンも最高出力571馬力までチューンナップされました。

 そしてLFAは予定どおり2012年12月に500台目の生産を終えました。今ではその希少価値から高額な価格で取り引きされており、直近のオークションでは標準モデルが81万9000ドル(邦貨換算で約8950万円)、ニュルブルクリンクパッケージは、160万ドル(約1億7500万円)で落札された実績があります。

●日産「GT-R50 by Italdesign」

「スカイラインGT-R」誕生50周年を記念して開発された「GT-R50 by Italdesign」

 今や日産が誇る高性能車のアイコンになっている「GT-R」は、1969年に、レースで勝利するために誕生した「スカイラインGT-R」から系譜が始まりました。その後、代を重ねても常に性能的に国産車の頂点に君臨しています。

 そして、世界に誇れる性能のスーパーカーへと進化を遂げました。

 このスカイラインGT-Rが生誕して50周年を迎えた2019年に発表されたのが、「Nissan GT-R50 by Italdesign」(以下「GT-R50」)です。

 GT-R50はイタリアの名門カロッツェリア、イタルデザインと日産による合作で、イタルデザインが2018年に創立50周年を迎えたということも重なり、タッグを組むに至った経緯といいます。

 ベースはGT-Rシリーズのなかでももっともハイパフォーマンスな「GT-R NISMO」で、日本で生産されたシャシとエンジンをイタルデザインへ運び、工房で内外装、パワートレインの組付けがおこなわれた後に世界中にデリバリーされます。

 外観デザインはGT-Rのシルエットを継承するも、共通する部品はほとんどありません。

 外装パーツのデザインや素材が変更されるだけでなく、キャビンはピラー部分で切断されて低く作り変えられ、リアセクションではトランクリッドがハッチバック化されるなど、ほぼすべてが専用に設計されています。

 内装のデザインは大きく変更されていませんが、ダッシュボードや内装材に使われる素材、シートは変更され、さらにオーナーの好みに合わせたオーダーも可能です。

 また、エンジンはNISMOにより1台ずつハンドメイドされる専用の仕様で、大幅にチューンナップ。最高出力720馬力、最大トルク780Nmを発揮し、当然ながらトランスミッションなどの駆動系もアップデート済みです。

 限定台数は50台で、価格は日本円で約1億2000万円からでした。

※ ※ ※

 冒頭でスーパーカーの販売が堅調とありますが、歴史的なモデルのオークションも高値で推移しています。

 本文中にもありますがLFAはすでに新車価格の2倍以上となり、クラシックスーパーカーもとくに希少価値が高いモデルは軒並み過去最高額をマークしている状況です。

 これは個人または法人によるコレクションというケースだけでなく、やはり投機目的もあるようで、コロナ禍が収束した後の値上がりに期待しているといわれています。

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