パチンコ店が5年で450人の子どもを救出!? 熱中症だけじゃない車内放置による「命の危険」とは
未施錠の車内で起こる事故、事件とは?
この時期、子どもを車内に放置するとどのような危険があるでしょうか。
まず挙げられるのは熱中症です。毎年、GWくらいから子どもが車内放置によって熱中症で亡くなる悲しい事件が多く報告されていますから、その危険は子どもを持つ親なら知っているでしょう。
近年はパチンコ店に子連れで来て子どもを車内に放置してしまう場合でも、「エンジンをかけたままでエアコン作動中」の状態にしているケースが多くみられます。
しかし、エンジンをかけてエアコンをつけていれば安全というわけでは決してありません。
駐車したままのアイドリング状態では走行風による冷却もなく、冷やすパワーが十分とはいえない場合もあります。
炎天下でアルファルトの照り返しが強く高温になる屋外駐車場ならなおさら冷えません。
パチンコに熱中したり、買い物やママ友とのおしゃべりに夢中になったりして気が付いたら数時間経過。
子どもを車内に置いていたことをすっかり忘れて気づいたときには、ガソリンが無くなり、エンジンもエアコンも停止、最悪の事態も十分に考えられます。
熱中症はわずか数分でも子どもの命を奪う危険がありますが、子どもの車内放置で発生する可能性がある恐ろしい事態はほかにもあります。いくつか例を挙げてみます。
1.未施錠の状態でエンジンがかかっているとクルマごと盗まれたり、子どもが誘拐されたりの危険がある。
2.シートの背もたれを倒して遊んでいて後部座席のヘッドレストと前席の背もたれの間に頭が挟まるような事故が発生する危険がある。
3.エンジンがかかっているということは、クルマが動かせる状態にあるということ。子どもが運転してクルマを移動させてしまうかもしれない。
4.2010年頃までに製造された国産車のなかには、後部座席のシートベルトにALR(チャイルドシートロック機構)が標準装備されているクルマも多く存在する。
ALRとはシートベルトを全部引っ張り出して戻しながらロックする、チャイルドシートをがっちりと固定するための機構ですが、チャイルドシートを使用していない車内でベルトを引き出して遊んでいた幼児の首にベルトが絡まってロックが外れなくなり窒息死した事故も報告されている。
大人が一緒にいても解除方法が分からず救急車や消防車を呼んだ例も多数ある。
※引っ張り出したベルトを全部戻すとロックが解除されるが、首やお腹に食い込んでいるとそれも難しい場合がある。
※ ※ ※
子どもだけを車内に放置すると、数分程度でも命の危険が生じます。
「うちの子はしっかりしてるから大丈夫」「エアコン付けてきたから大丈夫」「すぐ戻るから大丈夫」など、過信は厳禁です。子育てでもっとも大事なことは「子どもを死なせないこと」です。
パチンコ店だけではなく、車内に子どもを放置してはいけません。かけがえのない大切なお子さまの命を守ってあげてください。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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