米NYショー「ドタキャン」日系メーカーへの影響は? コロナ禍で分岐点迎えるモーターショーの今後
2021年8月5日(日本時間)に、アメリカでおこなわれるモーターショー「ニューヨークショー2021」の中止が決定しました。デルタ株の感染拡大を受けての対応で、8月19日の開幕まで2週間に迫ったなかでの中止決定となりましたが、日本の自動車メーカーにはどのような影響があるのでしょうか。
新型車発表を予定していたスバルと日産への影響は?
日本時間の2021年8月5日午前2時、アメリカのニューヨーク・国際オートショー(以下、ニューヨークショー)の中止が決定しました。8月19日の開幕まで2週間というタイミングでのドタキャンです。
中止の理由について、ショー主催者は「新型コロナウイルスの変異株、デルタ株が全米に拡大している状況のため」と説明しています。
2020年は新型コロナ感染症拡大の第一波の影響で、ニューヨークショーは4月開催を8月開催に延長されましたがコロナ禍で中止に。2021年についても春開催から夏開催に変更していたのですが、またも中止となってしまいました。
予定では8月19日がメディア向けのプレスデーとなっており、なかでも注目されていたのが、スバルと日産でした。
午前10時25分からのスバルの発表では、新型「WRX」のワールドプレミア。
また、午前11時15分からの日産の発表では、新型「フェアレディZ」量産モデル発表が期待されていました。
WRXについては、日本では現行モデルでWRX STIが「EJ20 ファイナルエディション」として2019年12月23日に受注生産の注文受付を終了。また、WRX S4 STI Sportについてもすでに生産は終了しており、新車で購入可能なのは販売店の在庫のみとなっている状況です。
一方、アメリカでは2021年モデルとして北米仕様のWRXとWRX STIの販売を続けてきました。
そうしたなかで、日本のユーザーにとっては、2017年10月の東京モーターショーで世界初公開された「VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」をベースとしたWRXとWRX STIのフルモデルチェンジを待ち望んできたところです。
スバルの北米法人であるスバル・オブ・アメリカ本部が、ニューヨーク州に隣接するニュージャージー州内にあることもあって、スバルにとってニューヨークショーとの関わりは強く、2000年代にWRX STIを北米仕様として初公開していますし、2018年には「フォレスター」のワールドプレミアをおこなっています。
新型WRXについては今後、オンラインでの発表に移行する可能性が高いと思われます。
一方、日産から登場する新型「フェアレディZ」を待ち望んでいるアメリカ人ファンも大勢います。
アメリカでは「Z(ゼット)」ではなく「Z(ジィー)」や「Z car (ジィーカー)」と呼ばれ、1970年代の初代(S30)から広い世代に絶大な人気と信頼を得てきたジャパニーズスポーツカーです。
新型コンセプトモデルのオンライン発表会でも、冒頭にアメリカのZファンクラブの人たちが登場するほど、アメリカでの「Z」に対する期待度が高く、ニューヨークで量産モデルをひと目見たいと思っていた人が大勢いたはずです。
また、日産の事業として見ると、2020年5月に発表した事業構造改革計画 NISSAN NEXTとの絡みがあります。
NISSAN NEXTの効果がもっとも大きく出ているのが、販売奨励金を抑制するなどの新車実売価格の適正化に成功した北米市場であり、「ローグ」(日本でのエクストレイル)の販売が好調です。
そこに、日産ブランドのシンボリックな存在である「Z」を導入します。NISSAN NEXTでは18か月に12モデルの新車を導入するとした「A to Z」を掲げており、まさに「Z」はNISSAN NEXTの締め括りとなります。
ニューヨークショーのドタキャンにより、出鼻をくじかれた形となった今、量産型「Z」のワールドプレミアをオンラインでどうやってZファンに伝えるのか、日産の腕の見せどころです。
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