米NYショー「ドタキャン」日系メーカーへの影響は? コロナ禍で分岐点迎えるモーターショーの今後
世界的に転換期を迎えつつある「モーターショー」の今後は?
最後に、ニューヨークショーとはどんなショーで、どんな特徴があるのかを紹介しておきましょう。
初開催は1900年と古く、1980年代後半からはマンハッタンの西端部にある大規模展示場、ジェイコブ・ジャビッツ コンベンションセンターで2019年まで毎年開催されてきました。
アメリカでの代表的なモーターショーといえば、長年にわたり1月開催だった北米国際オートショー(通称デトロイトショー)があります。
周知の通り、ミシガン州デトロイト周辺には、GM、フォード、そしてFCAとグループPSAが2021年1月に正式合併して生まれたステランティスの本部や関連施設が集積しています。
そのため、デトロイトショーは自動車製造業関係者、また全米の自動車販売店関係者が数多く参加してきました。
そもそも、近年のアメリカのモーターショーは「ディーラーショー」と呼ばれるように、一般ユーザーよりも販売店関係者への対応を重視する傾向が強くあります。
アメリカではメーカー直系販売店はテスラなど一部を除いて存在せず、また販売店は日本のようにカタログ販売による発注方式ではなく、多くの場合はメーカーオプションを組み込んだ状態で販売店がメーカーから年次モデルとして毎年大量に買い取る形式だからです。
それだけに、メーカーにとってモーターショーは、販売店幹部に新車をアピールする場として活用してきました。
そうしたなか、ニューヨークショーについては、開催場所がマンハッタンであり、一般ユーザーとしても旅行がてら新車に触れる機会として、一般の来場者が多いショーとして知られています。
ショー主催者としても、体験型イベントを重視しており、今回も例年通りJeepを急斜面などで走行できる施設を開設する予定だったほか、電動キックスクーターや最新EVの体験試乗会も企画されていました。
日本では、2021年10月開催予定だった東京モーターショーの中止が開催半年前の2021年4月に決まっています。
また、9月には、ドイツ自動車工業会が開催する国際モーターショー(IAA)が開催地をフランクフルトからミュンヘンに移し、IAAモビリティとして開催内容を刷新しますが、新型コロナウイルスのデルタ株がどう影響するのか、気になるところです。
筆者(桃田健史)はこれまで数十年間に渡り、世界各地のモーターショーを取材してきましたが、いま、さまざまな面でモーターショーは大きな展開期を迎えているように感じます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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