トヨタ包囲網は出来ない? 日産・ホンダ に影響大か 激戦区の小型車市場どうなる?

激戦区となる国内のコンパクトカー市場。トヨタ「ヤリス」、日産「ノート」、ホンダ「フィット」が三つ巴状態ですが、2021年7月19日にトヨタ新型「アクア」がフルモデルチェンジしたことで、コンパクトカー市場に影響を与えることになるのでしょうか。

新型アクア登場でコンパクト市場はトヨタ一強か

 国内で人気の高いジャンルのひとつにコンパクトカー市場が挙げられます。
 
 2021年7月中旬現在、トヨタ「ヤリス」、日産「ノート」、ホンダ「フィット」が三つ巴状態ですが、7月19日にトヨタ新型「アクア」がフルモデルチェンジしたことで、激戦区となっているコンパクトカー市場に影響を与えることになるのでしょうか。

新型アクア(右上)登場でヤリス(左上)、フィット(左下)、ノート(右下)にどのような影響が出るのか?
新型アクア(右上)登場でヤリス(左上)、フィット(左下)、ノート(右下)にどのような影響が出るのか?

 結論からいえば、新型アクア登場の影響は少なくありません。

 2013年から2015年にかけて新車販売台数の年間トップになるなど大人気で迎えられた先代アクアは、2019年頃まで新車販売ランキングの上位(2019年通年で5位)に立つなどデビューから時間が経っても人気が継続していました。

 しかし、2020年になるとさすがに順位が落ちて通年で14位へとダウン(販売台数は前年2019年に対して約57%となる5万9548台)。

 巷でいう「〇〇離れ」となるアクア離れとなっていましたが、その理由としては同じくトヨタのコンパクトカーであるヤリスがデビューした影響も少なくないと思われます。

 しかし、新型アクアになったことで再びトップを狙える状況を手に入れました。

 また、国内で約16万台という保有ユーザーを抱えるので、その代替え需要もあります。その結果、コンパクトカー市場に影響を与える可能性が大きいというわけです。

 新型アクアのボディはヤリスよりひとまわり大きく、ホイールベース延長の恩恵もあって後席の居住性がアップ。ヤリスに比べて荷室が広く積載性も優れています。

 後席の居住性が高く実用的なコンパクトカーといえば、思い浮かぶのはホンダ「フィット」や日産「ノート」。それらの販売は、間違いなく新型アクア登場の影響を受けるでしょう。

 パワートレインのメカニズムを刷新した新型アクアの燃費性能は先代モデルよりも優れ、それもライバルたちの脅威となるはずです。

 いずれも燃費性能は良好なので、実際のユーザーの財布へ与える燃料代の違いはカタログの燃費数値までのインパクトはありません。

 しかし、燃費を気にしてクルマを選ぶユーザーは今も少なくないでしょうし、先代モデルで多かった法人ユーザーなどでは社用車選びの際に燃費数値が重視されるケースもあります。

 しかし、さらに大きな影響を受けるのは、もしかすると同門のヤリスかもしれません。

 ヤリスは先代にあたる「ヴィッツ」に比べると後席が狭くなり、居住性がダウンしました。いっぽうでアクアは後席居住性が向上。

 その結果立場が逆転し、ファミリーユーザーが新型アクアに流れる可能性も多く発生すると思われます。

 その影響で、現在コンパクトカー市場のトップを走るヤリスの販売台数にブレーキがかかる可能性は否定できません。

 とはいえ、身内での競合はトヨタも想定済みでしょう。ヤリスと新型アクアのキャラクターの棲み分けを図った2トップ体制で、ヤリスの販売が減少したとしても合計でより多くのユーザーを獲得できればトヨタの戦略勝ちといえそうです。

 ライバル勢は、ホンダは新型フィットが登場してからまだそれほど時間が経っておらず、日産ノートもデビューしたばかり。

 ヤリス+新型アクアで競争力を強めたトヨタのコンパクトモデルに対する包囲網を作り上げるのは、まだ先のこととなるでしょう。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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