失われつつある魅力的な自然吸気エンジン! 至高のNAエンジン車5選

ダウンサイジングターボエンジンの普及によって、魅力的な自然吸気エンジン車はだいぶ少なくなってしまいました。そこで、これまで販売された至高の自然吸気エンジン車を、5車種ピックアップして紹介します。

魅力的な自然吸気エンジンを搭載したクルマを振り返る

 2000年代に欧州車から広まったダウンサイジングターボエンジンは急激に普及し、今では日本車にもだいぶ浸透しています。

 ダウンサイジングターボエンジンは燃費やコストの面で有利であり、車体の軽量化にも大きく寄与することから、採用が拡大されたといえるでしょう。

至高の自然吸気エンジンを搭載したクルマたち
至高の自然吸気エンジンを搭載したクルマたち

 その一方で、昔ながらの自然吸気エンジンは数を減らしつつあり、ハイブリッド車の普及もあって、とくにパワフルで高性能な自然吸気エンジンはもはやレアキャラな状況です。

 そこで、これまで販売された至高の自然吸気エンジン車を、気筒数別に5車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「ビート」

軽自動車で唯一自然吸気エンジンで64馬力を達成した「ビート」

 1991年5月、ホンダは日本初のミッドシップオープン2シーターの軽自動車「ビート」を発売しました。

 ルーフは手動式のソフトトップを採用し、外観は低いボンネットからリアまでなだらかに上昇するラインが特徴的で、美しささえ感じられるスポーツカーのフォルムです。

 室内ではシート生地にゼブラ柄を採用するなどポップな印象で、着座位置が低いことから体感的なスピードが速く感じられました。

 そして、リアアクスルのほぼ直上に横置きに搭載されたエンジンは660cc直列3気筒SOHCで、「アクティ」や「トゥデイ」のエンジンをベースに開発。

 専用の3連スロットルが奢られ、カムシャフトやピストンも専用品となっており、最高出力は自然吸気ながら64馬力を8100rpmで発揮します。

 ターボエンジンに対して最大トルクで劣りますが、アクセルに対するレスポンスに優れ、なにより64馬力を達成した唯一無二の660cc自然吸気エンジンという特別な存在です。

 ビートは1996年に生産を終了しましたが現在も多くの愛好家がいて、比較的現存数が多いことからホンダもパーツの再生産をおこなうなど、サポート体制も整っています。

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●日産「パルサーセリエ/ルキノ VZ-R・N1」

1.6リッター自然吸気で最高峰のエンジンを搭載する「パルサーセリエ/ルキノ VZ-R・N1」

 日産は1978年に、新時代のFFコンパクトカーとして初代「パルサー」を発売。当初はベーシックカーというコンセプトでしたが、1990年には世界ラリー選手権に出場するベース車「パルサーGTI-R」を発売するなど、高性能モデルを展開します。

 そして、1997年には5代目をベースに、N1カテゴリーのレースで勝つことを目的として開発された「パルサーセリエ/ルキノ VZ-R・N1」がラインナップされました。

 パルサーセリエ/ルキノ VZ-R・N1は、当時の最大のライバルであるホンダ初代「シビック タイプR」を打倒することを目標に、日産とオーテックジャパンがタッグを組んで開発。

 ボディは3ドアハッチバックのみで、エンジンは1.6リッター直列4気筒DOHCの「SR16VE型」を搭載。最高出力はスタンダードモデルの「VZ-R」が175馬力だったのに対して、専用のシリンダーヘッドを搭載し、ポートや燃焼室、吸排気マニホールドの研磨などのメカチューンが施され、クラストップの200馬力を7800rpmで絞り出しました。

 出力的にはシビック タイプRの185馬力を15馬力上まわりましたが、さらに1998年には「パルサーセリエ/ルキノ VZ-R・N1 VersionII」を発売。最高出力は200馬力のままでしたが、サスペンションの強化と車体の軽量化、フジツボ技研製マフラーが装着されるなど、さらに戦闘力をアップ。

 実際のスーパー耐久シリーズではシビック タイプRと互角以上の戦いを繰り広げましたが、わずかに及ばずタイトル奪取とはなりませんでした。

 しかし、市販の1.6リッター自然吸気エンジンで200馬力に到達したのは、金字塔といえるでしょう。

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●ポルシェ「718ケイマン GT4」

伝統の大排気量水平対向6気筒自然吸気エンジンを搭載する「ケイマン GT4」

 1996年に、ポルシェは「911」よりも安価なモデルとして「ボクスター」を発売。オープン2シーターのボディで、リアミッドシップに水平対向6気筒を搭載するピュアスポーツカーとして開発されました。

 さらに2005年には、2代目ボクスターとシャシやエンジン、足回りを共有するクローズドボディの「ケイマン」が登場し、より走りを重視したコンセプトを採用。

 そして、現行モデルの「718ケイマン」は2016年に登場して、標準グレードのエンジンは2リッター水平対向4気筒ターボにダウンサイジングされました。

 しかし、2019年にはサーキット走行を視野に入れて開発された高性能モデルの「718ケイマン GT4」がデビュー。

 718ケイマン GT4に搭載されるエンジンは4リッター水平対向6気筒DOHC自然吸気で、最高出力420馬力を7600rpmで絞り出します。

 組み合わされるトランスミッションは6速MTのみで、シャシ、サスペンション、ブレーキも大出力に見合うアップグレードが施され、優れた運動性能を発揮。

 まさにピュアスポーツカーの原点に回帰したモデルです。なお、同型のエンジンを搭載するオープンモデルの「718スパイダー」もラインナップされています。

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