好調「N-BOX」の影で「オデッセイ」は終了!? ホンダ車の売れ筋が特定車種に偏る事情とは
2000年代に系列を廃止したことも売れ筋車種が偏る原因か?
以前からホンダでは、新規投入の新型車が発売されると、既存の車種が売れ行きを落とす傾向がありました。
1994年に発売された初代オデッセイは好調に売れましたが、1996年に初代ステップワゴンが登場すると次第に売れ行きを下げました。

2001年に初代フィットが登場するとステップワゴンが下がり、2011年にN-BOXが発売されるとフィットが下がり始めるという具合です。
設計の新しい車種が古い車種の需要を奪い、しかも売れ筋がラージサイズからミドルサイズ、コンパクト、さらに軽自動車へと小さくなっていきます。このダウンサイジングの連鎖もホンダ車の売れ行きが偏る原因です。
この流れは、2000年代の中盤以降は一層顕著になりました。ホンダがプリモ/クリオ/ベルノという販売系列を廃止して、全店が全車を扱う体制に変わったからです。
すべての店舗で軽自動車を売るようになり、小さな車種に乗り替えるユーザーがさらに増え、シビックやレジェンド、CR-Vといったミドルサイズ以上の車種は売れ行きを大幅に下げました。
そうなるとシビックやCR-Vは国内市場を軽視して海外指向を強めるため、ますます国内の登録台数が下がります。その結果、シビックやCR-Vは一時的に国内市場から撤退。その後に改めて復活しています。
ホンダは国内市場において、場当たり的とも受け取られる対応をおこなってきました。その結果、国内の売れ筋車種が偏り、小さなクルマのメーカーになって国内販売総数も減っています。
2021年1月から5月における国内販売順位は、1位トヨタ、2位スズキ、3位ダイハツ、4位ホンダです。偏りのある売り方を続けると、結局は販売総数を下げてしまいます。5位の日産にも同様のことがいえます。
結局のところ、ホンダ車の販売が偏ってオデッセイなどが廃止に追い込まれた一番の理由は、国内販売の戦略性が乏しく、売りやすいクルマだけを安易に売り続けた結果といえるでしょう。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。








































