好調「N-BOX」の影で「オデッセイ」は終了!? ホンダ車の売れ筋が特定車種に偏る事情とは

昨今のホンダの国内販売は、軽自動車の「N-BOX」や小型車の「フィット」「フリード」の販売台数が全体の8割と多くを占めています。人気車と不人気車に大きな格差が生じるのはなぜなのでしょうか。

ホンダは軽自動車や小型車のメーカーになりつつある!?

 どこのメーカーにも人気車と不人気車はありますが、とくにホンダでは販売の格差が激しいです。販売台数がもっとも多いのは軽自動車の「N-BOX」で、2021年1月から5月の1か月平均届け出台数は1万8614台に達します。

 しかしN-BOXと基本部分を共通化した「N-WGN」は、2021年1月から5月の1か月平均届け出台数が4785台に留まります。相応の売れ行きともいえますが、N-BOXに比べるとわずか26%です。

狭山工場閉鎖にともない生産終了するホンダ「オデッセイ」
狭山工場閉鎖にともない生産終了するホンダ「オデッセイ」

 同じ軽自動車の「N-ONE」はさらに少なく、1か月平均2360台なのでN-BOXの13%。ホンダでは軽自動車を「Nシリーズ」と呼びますが、届け出台数はN-BOXが圧倒的に多いのです。

 ホンダはSUVの販売格差も激しいです。2021年4月に発売された新型「ヴェゼル」は、発売後1か月で3万2000台を受注したと発表されました。

 2013年に登場した先代型も発売1か月後の受注台数が3万3000台だったので、新旧モデルともに売れ行きは好調です。しかしミドルサイズSUVの「CR-V」は、最近の1か月平均登録台数が400台から500台なのでヴェゼルと比べると圧倒的に少ないです。

 2021年1月から5月に国内で新車として販売されホンダ車の57%を軽自動車が占めました。この軽自動車の届け出台数に、登録車で売れ筋の「フィット」と「フリード」を加えると、国内で販売されたホンダ車の約80%に達するのです。

 現在のホンダの国内販売は車種ごとの格差が激しく、全体の80%を占める軽自動車+フィット+フリードというコンパクトな主力車種と、残りの20%に該当するそのほかの車種に区分され、ダイハツやスズキのような小さいクルマのメーカーになりつつあるのです。

 その結果、狭山工場の閉鎖に伴い、「オデッセイ」「レジェンド」「クラリティ」は生産を終えることになりました。

 ホンダの販売店に尋ねると「オデッセイは以前に比べて売れ行きが下がり、生産を終えますが、何台も乗り継ぐお客さまもいる車種なので残念です」という話が聞かれました。

 それにしてもホンダの販売格差は、なぜここまで拡大したのでしょうか。この背景には複数の理由があります。

 まず近年ではフィットとフリードの売れ行きが際立ち、2011年に発売された初代N-BOXも絶好調に売れた結果、ホンダのブランドイメージがコンパクトな方向へ変化したことです。

 ホンダのスポーツモデルを知らない比較的若い人達を中心に小さなクルマのイメージが強まり、ミドルサイズの「ステップワゴン」や「シビック」より車格が上の車種は売りにくくなりました。これが販売格差に繋がっているのです。

 軽自動車では、先に述べたN-BOXとほかの車種の格差も注目されます。先代N-BOXには前輪駆動の軽乗用車では車内がもっとも広いという実用的なインパクトがあり、ユーザーの購買意欲を刺激。

 好調な売れ行きに結び付き、先代型からの乗り替え需要も豊富なことから、現行N-BOXの販売も絶好調です。

 一方でN-WGNにも優れた点は多く、N-BOXに比べてボディが軽いため動力性能と燃費が両方とも優れており、荷室も棚状にするなど使いやすい工夫が施されています。

 N-BOXのパーキングブレーキは従来の足踏み式で、車間距離を自動制御できる運転支援のクルーズコントロールも時速25km未満では自動解除されますが、N-WGNは電動パーキングブレーキを採用してACCも全車速追従型です。

 N-BOXより後にフルモデルチェンジしたN-WGNは先進機能を充実させ、価格もN-WGNが15万円から20万円安いですが、売れ行きは前述の通りN-BOXの26%に過ぎません。

 そのためにスズキの販売店からは「値引きなどで競うホンダ車は、すべてN-BOXです。『ワゴンR』や『ハスラー』の競争相手は本来N-WGNやN-ONEなのに、すべてN-BOXと比べられます」という声も聞かれるほどです。

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5件のコメント

  1. ホンダというメーカーはアイディアと先見性で車両を提供してきました。しかし、他のメーカーも同様に国内販売が疎かにしている。アメリカ中心、国内は空洞化。車を育てる感覚が薄い。アジアで開発されている二輪、四輪車が注目されています。

    • ホンダは
      四輪部門は赤字
      2輪とホンダジェットで会社は維持されてる‼️

  2. 今も昔もホンダって
    生産能力も販売力も弱いんだと思う
    ある車種がヒットするとそればかりが売れるからと
    大量生産する為に他の車種は減産せざるを得なくなる、
    さらに販売店側も減産車種売るメリットは無く無理に売り込もうとしないから
    さらにジリ貧になり存在感も薄くなりディスコンに、
    そして次のヒット作出ると、
    かつてのヒット作も客に飽きられ生産ラインを次のヒット車に明け渡し減産しフェードアウトする、
    これの繰り返しばかりしてる様に見える。
    結局は国内の年間生産台数と販売総数を柔軟に増やせない弱体体質なのではないか?
    そこに来て狭山工場閉鎖ときた、
    負のスパイラルに落ち込まなければ良いけど?

  3. ホンダの販売低迷がディーラーを
    統一したから
    バカだね
    日産も統一し
    アホな名前違いだけのディーラー対策が多いトヨタ
    すら全部のディーラーで販売を始めた‼️

  4. 今回の記事では、直近の問題点の指摘しか有りませんが、問題はもっと根深いところに有ると思います。
    私のようなオヤジ世代に、ホンダのイメージといえば、F1、バイク、スポーツカーです。
    DOHCエンジンをトラックに積んじゃうような、エンジンに拘ったメーカー。
    私が若い頃、若者の多くはシビックで運転を覚え、ホンダの魅力に取り憑かれ、家庭を持ち、家族が増えて、オデッセイに乗り換える。そんな顧客の流れも有りましたが、、、
    F1撤退から、レースのホンダのイメージを継承する為、シビックがニュル最速を目指すようになったあたりから、状況が変化したと思います。
    今まで、若者がモータースポーツを身近に感じていたシビックが富裕層が勝つ為のモンスターマシンになってしまった事。
    ホンダは自らホンダ車への入り口を閉ざしてるなぁと当時思った程です。
    それ以外にも問題は山積してます。
    例えば、社会現象にもなった、初代シティ。
    当時斬新だったトールボーイに若者は飛び付きましたが、何故か二代目は屋根の低いデザイン。
    ジムカーナで活躍した事から、二代目の方がよりホンダらしいとも言えますが、理解に苦しみました。
    更に二代目三代目プレリュードは、当時デートカーとして絶大な人気になるも、四代目でイメージチェンジ。FFなのに謎のロングノーズショートデッキ。全く理解に苦しみました。
    せっかくヒット商品を生み出しても、後に続かないというより、モデルチェンジで売れた理由の良い部分を残さず、あらぬ方向へ行ってしまう事。
    今の時代、若者がNシリーズで運転を覚えたとして、買い換える時に魅力的な車は有るでしょうか?
    またNシリーズに買い替えるか、他のメーカーに流れる方が多いでしょう。
    初愛車が初代シティのオジサンとしては、ホンダには頑張って欲しいと思っております。

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