ラリー界の伝説「ランチア デルタ」が、今でも真のクルマ好きにオススメの理由【中古車至難】
本来ネオクラシックと呼ばれる20年から30年前のクルマというのは、半世紀以上経ったクラッシックカーと比較すると、歴史的価値では勝る部分が少ないのが常例だ。しかしラリーの名門ランチアが1980年代に世に放った「デルタ」は違う。ほかのネオクラ車と比べてもその価値は高く、ホットハッチの歴史において伝説になっている。今回はそんな「デルタ」が名車であるワケを解説、そしてその選ぶべきモデルも紹介したい。
登場以降、常にラリー界をかき乱していた亡者
パガーニなどのハイパーカーは話が別だが、お金さえ出せば誰でも買えるのが新車のハイパフォーマンスカー。そういったクルマに乗るのも、もちろん素敵ではある。
だがオーナーの見識とセンスが問われるちょっと古いクルマ=ネオクラシックをあえて選ぶほうが、もしかしたら「より素敵」なのかもしれない。
また単純に、世界的にも人気が高いネオクラシックモデルは「購入後もほとんど値落ちしない。むしろ値上がりするケースすらある」というのが昨今のマーケットトレンドゆえ、それらは「数年で大きく値落ちする新車より資産価値が高い」ともいえるはず。
そう考えた場合にぜひ注目したいネオクラシックのひとつが、イタリアのランチアが1995年まで製造していた初代ランチア「デルタ」。そのなかでも、最終世代の「HFインテグラーレ エボルツィオーネII」またはその派生限定車だ。
1979年に発売された初代デルタは、もともとは1975年登場の初代フォルクスワーゲン初代「ゴルフ」の対抗馬として開発された、ごく普通の(強いていえばやや高級な)実用FFハッチバックだった。トピックといえば、工業デザイン界の巨匠であるジョルジェット・ジウジアーロがデザインを担当した──ということぐらいだろうか。
そんな実用車デルタの運命を変えたのはWRC(世界ラリー選手権)だった。
1985年にグループB規定でWRCに投入された「デルタS4」は、車名がデルタというだけで、市販版のランチアデルタとは何の関係もないクルマ。
だが1987年からWRCがグループA規定、つまりより市販車に近いスペックで戦う規定の採用が決定すると、ランチアは実用FFハッチバックのデルタに「デルタHF 4WD」という2リッターターボ+フルタイム4WD版を追加。これのグループAカーでもってWRCを戦うことを決めたのだ。
そして1987年シーズンを13戦9勝という圧倒的な戦績で終えたランチアは、翌1988年シーズン途中から「デルタHFインテグラーレ」という、HF 4WDに大幅な改造を加えたモデルを投入。4WDシステムとサスペンション、ブレーキ、ギヤ比などといった細かな改良のほか、よりワイドなホイールを収めることができるブリスターフェンダーを採用したデルタHFインテグラーレは、1988年シーズンも制した。
翌1989年はさらにバージョンアップされた「デルタHFインテグラーレ16V」がこれまた年間チャンピオンとなり、3年連続でメイクスとドライバーズのダブルタイトルを防衛。そして、視覚的にはよりド派手な「HFインテグラーレ16Vエボルツィオーネ」が登場した1992年まで、メイクスタイトル6連覇という前人未到の偉業を成し遂げたのだ。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。