AT車全盛の現代でMT車に乗るのはなぜ? オーナーが語る「あえてMTを選ぶ理由」
新車販売の約99%がAT車といわれている現在、少数派のMT車にあえて乗ることにどんな意味があるのでしょうか。実際にMT車に乗っている現役オーナーに、MT車を選んだ理由について聞いてみました。
すべてを自分で操作するMT車は運転の上達が実感できる
日本国内における新車販売において、いまではAT車がおよそ99%を占めているといわれています。これはCVTやDCTなども含めた数値ですが、MT車はわずか1%程度と少数派になってしまいました。
以前から乗っているクルマや中古車での購入するケースもあるため、実際に街を走っているクルマのMT車の比率はもっと多くなりますが、それでもMT車が少ないという現状は変わりません。

レアな存在となったMT車ですが、オーナーたちはどのような思いでいるのでしょうか。AT車全盛のなか、あえてMT車を選んだ理由を聞いてみました。
MT車を選んだ理由としてもっとも多かった回答は、「操作している感があるから」というものです。
1990年にポルシェが「911カレラ2」用に「ティプトロニック」を登場させて以来、ATでも任意のギアを選べるマニュアルシフト機構付きが増えましたが、それでもMT車ですべてを自分で操作したいという声は一定数あるようです。
MT車といえばスポーツカーですが、販売の約75%がMT車というマツダ「ロードスター」に乗るMさん(30代)は、次のように話します。
「オートマモードとマニュアルモードがあって自動の楽さと操る楽しさの両方を使い分けられる最近のATやDCTは魅力的です。
ですが、クラッチを踏むのがアクセントになるというか、運転全体にリズムが出てくるんです。リズム良く走らせることができたときの『クルマを操ってる感』は格別です」
同じくロードスターを所有するYさん(20代)もMT車を選んだ理由として「操作している感」をあげ、「とにかく楽しい」と魅力を語ってくれました。
「操作に忠実な『人馬一体』を目指したロードスターを満喫するなら、やはり変速も自分でするのが1番だと思いMT車を選びました。シフトチェンジのときにアクセルを抜いたり煽ったりして回転数をあわせると、スッと吸い込まれるようにギアに入ると最高に気持ち良いんです。回転数があってなくて失敗すると抵抗感があったりギアが鳴いたりするんで、そのときはもっと練習しなくちゃ、もっと上手くなりたいって思います」
近年はトヨタの「iMT」やホンダの「レブマッチシステム」など回転数を自動調整してくれるMTも登場しましたが、それだと楽しみが半減してしまうのだとか。
実用的なハッチバック車であるスバル「インプレッサスポーツ」(4代目)のMT車に乗るSさん(40代)は次のように話します。
「スポーティなイメージが強いインプレッサですが、1.6リッターエンジンを搭載するごく普通のハッチバックもあります。115馬力とちょっと非力なので、パワーを存分に活かすためにMT車を選びました。
ATのように自動でシフトアップすることがないので、最高出力を発生する5600回転まできっちり回してパワーを使い切ることができて気に入っています。もちろん、いつもそうしているわけではありませんが」
ロードスターの2人はギアチェンジという行為に、インプレッサスポーツのSさんはどちらかというとクルマの性能を使い切ることに「操作感」を見出している様子です。
ひと口にMT車を選ぶ理由は操作している感があるからといっても、好みや車種により異なることがわかります。


































