なぜフル装備&4WDがない? 新型「ヴェゼル」最高額グレードの謎
2021年4月23日に発売されたホンダの2代目となる新型「ヴェゼル」。いくつかのグレードが設定されていますが、なかでももっとも高価なのが「e:HEV PLaY」です。しかし他グレードと比べると装備において不思議な現象が起きているようです。
なぜ新型ヴェゼルの最高価グレードはフル装備ではないの?
発売から1か月で、販売計画の6か月分以上に相当する約3万2000台を受注し好調なスターを切ったホンダの新型「ヴェゼル」。コンパクトSUV市場でもっとも注目されている1台といえますが、新型ヴェゼルのグレード展開では少し不思議な現象が起きているようです。
ホンダが発表した初期受注データをみると、ガソリンとハイブリッドの比率は7対93。
人気ナンバーワングレードは「e:HEV Z」で全体の76%にもなっています。
以下「e:HEV PLaY」が12%、「e:HEV G」が7%、そしてガソリン車の「X」が5%と続きます。
ところで、そんな新型ヴェゼルのグレードごとの装備を見て、気になることがあります。
もっとも価格の高いグレードは329万8200円の「e:HEV PLaY」で、その次は311万8500円(4WD)となる「e:HEV Z」となり、ここには約18万円の価格差が存在します。
確かに「e:HEV PLaY」は、カーナビやETC2.0車載器、パノラマルーフ、後退出庫サポート、そしてワイヤレス充電器などが追加され、さらに2トーンのボディカラーなども含めて考えれば、その価格差にはそれなりの説得力があると考えていいでしょう。
しかし、装備表をよく見ると、「e:HEV Z」には標準装備されるのに最高額の「e:HEV PLaY」には備わらないアイテムがあるのが興味深いところで、以下は「e:HEV Z」にあって「e:HEV PLaY」に装備されていないものです。
●LEDヘッドライトのオートレベリング機能
●LEDアクティブコーナリングライト
●エアコンの左右独立温度設定機能
●トノカバー
●ワイパーの雨滴検知機能
このように、両グレードの装備差は決して少なくありません。なかでも、エアコンの左右独立温度調整機能は欲しいと感じる人が多いのではないでしょうか。
しかし、「e:HEV PLaY」にはオプションとしても組み込めません。
「e:HEV PLaY」は新型ヴェゼルのなかで“もっとも高価”なグレードですが、装備は“もっとも充実というわけではない”という不思議な状況になっているのです。
確かに「e:HEV PLaY」にはガラスルーフが組み込まれるなど特徴もあるのですが、グレードを選ぶ側とすれば「わかりにくい」と感じるのではないでしょうか。
はたして、「e:HEV PLaY」に一部の装備が組み込まれない理由はどこにあるのでしょう。
ホンダによると、その理由は「グレードのキャラクター付け」だといいます。
「e:HEV PLaY」は2トーンのボディカラーを採用し、専用の明るいインテリアコーディネートを実施。
内外装にオレンジやレッドのアクセントを加えるなど、カジュアルな雰囲気を強めた仕様となっています。
そんな設定からは「e:HEV PLaY」が特別なポジションであることは理解できなくもありません。
しかし、そういったコーディネートのうえで、装備も左右独立温度調整機能付きのエアコンとするなど「e:HEV Z」と同等以上に充実させればいいのではないかと感じます。
むしろ「装備が最高レベルではないのは、社外に伝えない何らかの事情があるのではないか?」と思うほどです。
「なぜフル装備&4WDがない新型ベゼル最高額グレードの謎」を拝見し、執筆した工藤貴宏氏の観察眼、洞察力に感心した。新型車のレビューでは、走り、装備が当然、主となるのであろうが、素朴ななぜを追求、氏なりの推論を導きだしたのは、慧眼。車選びの大いに参考になつた。これからの氏の活躍に期待する。