なぜフル装備&4WDがない? 新型「ヴェゼル」最高額グレードの謎

魅力ある「e:HEV PLaY」 装備差にみる事情とは何か?

 では、そこにはどんな事情があるのか。あくまで推測の域を出ませんが、ふたつの理由が考えられます。

 ひとつは価格面。「e:HEV PLaY」に左右独立温度調整機能付きのエアコンなどを組み込んだら、さらに車両価格が高くなってしまうというものです。

 その際は「e:HEV Z」とは50万円以上の差になるでしょうから、さすがに「高すぎる」と判断したのかもしれません。

 価格上昇を抑えるためにはナビをオプション化するなどの方法を取ればいいとも考えられますが、グレードの設定上、ナビを標準採用したかったのでしょう。

 もうひとつは、燃費計測などの手間です。装備が増すことにより車両重量が増え、燃費計測や型式認定などの手間が増えることも考えられます。

 車両重量は「e:HEV Z」のFFモデルが1380kg、「e:HEV PLaY」は1400kgです。

 ベーシックグレードである「e:HEV X」と「e:HEV G」の重量差は30kgあるので、もし「e:HEV PLaY」に装備を追加したら、車両重量が1420kgを超えてしまうかもしれません。

 すると燃費計測における重量基準が変わってしまい、燃費計測をほかのグレードとは別におこなう必要があるほか、区分が変わることで燃費計測時にかける負荷が増して燃費数値が不利になります。それを避けているのかもしれません。

 真相はわかりませんが、どこかに“大人の事情”が隠されていると考えるのが自然でしょう。

新型ヴェゼルでは「4WD」もセールスポイントとなるが…「e:HEV PLaY」には設定されない
新型ヴェゼルでは「4WD」もセールスポイントとなるが…「e:HEV PLaY」には設定されない

 実は、「e:HEV PLaY」にはもうひとつ謎があります。それは4WDの設定がないこと。

 他グレードの駆動方式はすべてFFと4WDを選べますが、「e:HEV PLaY」だけはFFしかないのです。

 新型ヴェゼルは4WDの性能もアピールしているだけに、なんとも不思議な設定です。

ホンダ・ヴェゼル のカタログ情報を見る

【画像】これが高額グレードとなる「e:HEV PLaY」 遊び心ある仕様とはどんなもの?(36枚)

【2024年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

1件のコメント

  1. 「なぜフル装備&4WDがない新型ベゼル最高額グレードの謎」を拝見し、執筆した工藤貴宏氏の観察眼、洞察力に感心した。新型車のレビューでは、走り、装備が当然、主となるのであろうが、素朴ななぜを追求、氏なりの推論を導きだしたのは、慧眼。車選びの大いに参考になつた。これからの氏の活躍に期待する。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー