魔改造!? それとも究極の進化系? コンパクトカーベースの高性能マシン5選
いわゆる「ホットハッチ」と呼ばれるクルマは、コンパクトカーをベースにした高性能モデルで、欧州や日本で人気がありました。しかし、さらに高性能化したとんでもないモデルも存在。そこで、コンパクトカーベースの高性能マシンを5車種ピックアップして紹介します。
コンパクトカーをベースに大胆に手が入れられてクルマを振り返る
一部例外がありますが、大半のクルマには複数のグレードが設定されており、経済性を重視した安価なグレードや装備が充実したグレード、そしてハイパフォーマンスなグレードがあります。
そんな高性能なグレードはコンパクトカーにも波及しており、とくに3ドア/5ドアハッチバックのモデルでは「ホットハッチ」と呼ばれました。
コンパクトカーの高性能グレードは比較的安価なモデルが多く、日本でも1980年代から1990年代の終わり頃まで高い人気を誇り、国産メーカー各社から販売されていましたが現在はだいぶ数が減ってしまいました。
一方、高性能なコンパクトカーのなかには、とんでもなくハイパフォーマンスに仕立てられたモデルも存在。
そこで、市販車だけでなく1台のみ製作されたコンセプトカーも含めて、コンパクトカーベースの高性能マシンを5車種ピックアップして紹介します。
●ルノー「5ターボ」
現在、ルノーのラインナップでもっともコンパクトなモデルは「トゥインゴ」ですが、トゥインゴの登場以前にエントリーモデルのポジションを担っていたのは「5(サンク)」です。
初代5は1972年に誕生したFF大衆車で、スタイリッシュなフォルムと軽快な走りから欧州で大ヒットを記録。日本でも1976年から正規輸入されると、オシャレなフレンチコンパクトカーとして人気となります。
ルノーはこの5をベースにしたマシンで、グループ4カテゴリーで戦われる世界ラリー選手権(WRC)に参戦を画策し、そのホモロゲーションモデルとして1980年に発売されたのが「5ターボ」です。
ベース車はFFながら5ターボはエンジンを後席部分に縦置きに配置し、リアタイヤを駆動する2シーターのミッドシップカー(MR車)に作り変えられました。
搭載されたエンジンは1.4リッター直列4気筒OHVターボで、市販仕様では最高出力160馬力を発揮。
さらに、外観もトレッドの拡大とワイドタイヤの装着を前提に前後ともオーバーフェンダー化され、大衆車がベースとは思えないほどの戦闘マシンへと変貌。実際は5と共通するパーツはほとんど無く、ベース車の存在はそれほど重要ではありませんでした。
作り込まれていたのは外観だけなく内装も同様で、初期のモデルでは色使いやデザインがモータースポーツベース車とは思えないほどアバンギャルドな装いとなっていました。
●トヨタ「GRヤリス」
前出の5ターボと同じく、ラリーを始めとするモータースポーツ参戦のベース車として開発されたのがトヨタ「GRヤリス」です。
2020年9月に発売されたGRヤリスは、トヨタがWRCで培った技術を惜しみなく投入した4WDスポーツカーで、ストリート仕様の「RZ」に搭載されるエンジンは、大型の空冷インタークーラーを装備した新開発の1.6リッター直列3気筒ターボ。最高出力272馬力・最大トルク370Nmを発揮します。
トランスミッションはブリッピング機能がある6速MT(iMT)のみで、新開発の駆動力可変型フルタイム4WDによって路面に伝えられ、運動性能と加速性能はまさにラリーマシンレプリカです。
ボディはヤリスと同様なシルエットながら専用の3ドアハッチバックのみで、前後フェンダーは迫力あるオーバーフェンダーを採用してワイドトレッド化。
ほかにもカーボン製ルーフパネルの採用や、ボンネットとドアパネルはアルミ製とするなど軽量化も図られ、4WDターボながら車重は1280kgを実現。
なお、外観はRZと同様ながら、1.5リッター自然吸気エンジンにCVTを組み合わせたFFの「RS」や、モータースポーツベース車で快適装備を省いてRZから30kgダイエットした「RC」がラインナップされています。
●日産「マーチボレロ A30」
前出の2台とは異なるコンセプトで製作されたスーパーコンパクトカーが、日産「マーチボレロ A30」です。
マーチボレロ A30は、日産車のコンプリートカーや特装車を数多く手掛けてきたオーテックジャパンの創立30周年を記念して、2016年9月に限定30台で発売されました。
ベースとなったのはクラシカルにカスタマイズされたマーチボレロで、エンジンは「ノート NISMO S」にも搭載された1.6リッター直列4気筒の「HR16DE型」に、専用のクランクシャフト、コンロッド、カムシャフトなどを組み込み、さらに手加工によるポート研磨が施されて最高出力は150馬力まで向上。トランスミッションは5速MTのみとなっています。
シャシは各部にブレースを追加して剛性アップが図られ、専用のサスペンション、フロントブレーキの大型化とリアブレーキがディスク化などにより運動性能が高められました。
さらにボディは90mm拡大されたトレッドにあわせて、大きく張り出した前後フェンダーを採用。全幅はベース車の1665mmに対して1810mmと145mm拡幅されており、迫力あるフォルムはマーチとは完全に別モノです。
内装もレカロ製シート、専用レザーハンドル、240km/hスケールのスピードメーターなどを装備してスポーティに演出。
当時、マーチボレロ A30の新車価格は356万4000円(消費税8%込)とスタンダードなマーチボレロの2倍以上でしたが、限定30台はあっという間に完売しました。
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