音楽や動画だけでなくタイヤまで! 流行りつつある新しい買い方「サブスク」を改めて考える

今後タイヤは買うものではなく、サブスクを利用するものになっていく!?

 ブリヂストンがおこなうサブスク、Moboxは、タイヤとメンテナンスを月額一定払いで提供するというものだ。

スタンダードプランならば、タイヤ交換取り付けやローテーション、安全点検や窒素ガス充填、そしてパンク補償のサービスが受けられる(契約店舗に限る)
スタンダードプランならば、タイヤ交換取り付けやローテーション、安全点検や窒素ガス充填、そしてパンク補償のサービスが受けられる(契約店舗に限る)

 プランは2年契約を基本に、サービス内容の異なる「スタンダード」と「ライト」の2種。スタンダードは「初回タイヤ取り付け時の脱着・組み替え・センターフィット」「パンク補償」「窒素ガス充填」「ローテーション・センターフィット(2回)」「安全点検」「メンテナンス通知」が提供される。

 ライトは、このうちの「窒素ガス充填」と「ローテーション・センターフィット」が省かれる。サービス対応は全国353店のコクピット/タイヤ館(2021年4月時点)となる。

 具体的な価格は、ブリヂストンの公式サイトを見ると最低価格が月額957円からとある。

 同サイトでトヨタ「プリウス」のサイズでシミュレーションしてみると、サマータイヤ「DYTON DT30」の195/65R15サイズが、ライトプランで月額1529円(消費税込、以下同)、スタンダードプランが月額2024円となる。

WEB申し込みできるサブスク商品は、サマータイヤ「DYTON DT30」のほか、このオールシーズンタイヤ「WEATHERGRIP」の2種類になる。店頭限定商品は「ECOPIA」「Playz」「REGNO」の3商品から選ぶことが可能だ
WEB申し込みできるサブスク商品は、サマータイヤ「DYTON DT30」のほか、このオールシーズンタイヤ「WEATHERGRIP」の2種類になる。店頭限定商品は「ECOPIA」「Playz」「REGNO」の3商品から選ぶことが可能だ

 2年では、総額がライトプランで3万6696円、スタンダードで4万8576円だ。初期費用を抑えてタイヤを新調できるだけでなく、プロショップによるサービスを気軽に受けられるという安心感も大きな魅力となるだろう。

 ちなみにWEB申し込みでは2種類のタイヤからしか選べないが、店頭申込みだとエコピアからプレイズ、レグノといった人気の銘柄も選ぶことができる。

* * *

 では、なぜブリヂストンがこのようなサービスを実施することになったのか。

 その経緯をブリヂストンの広報部にたずねてみた。すると「自動車業界は大変革の時代を迎え、MaaSやCASE化の波が加速、お客様の生活スタイルや消費スタイルも変化しているなかで、“タイヤに安心感と気軽さを”というコンセプトで、お客様のニーズに応えるタイヤとメンテナンスのサブスクリプション・サービスの提供を開始しました」という。

 また、「環境への配慮の視点では、現時点でMoboxは、タイヤを適切なタイミングでメンテナンスしていただき、長くご利用いただくことで、資源生産性の向上に貢献するとともに、適正空気圧を保つことで燃費悪化を抑制しCO2排出量の削減に貢献するものと考えております」とコメントする。

 ちなみにブリヂストンによる「Mobox」の導入は、日本が初ではない。

「欧州では、2017年にフランスでサービスを開始し、2021年現在ではドイツ、スペイン、イタリアなど欧州の主要国で販売を展開しております。欧州ではお客様に、タイヤとメンテナンスの新しい買い方として受け入れられております」

 日本でも2020年の暮れにトライアルとして少数の店舗でサービスを実施しており、そこでも手ごたえがあったようだ。そのため「今後、Moboxを通じてご利用いただけるタイヤのラインナップ拡大、およびメンテナンスサービスの追加、ご利用いただける店舗の拡大を計画しております」とか。

 使うほどに消耗してしまう製品は、サブスクとの相性が良いと言える。とくにタイヤはゴム製品のため、走らなくても経年劣化で一定期間がくれば交換しなければならない。サブスクにぴったりな商品なのだ。

 ブリヂストンのサービスが定着すれば、ライバルの参入も十分にあり得る話。10年後、タイヤは買うものではなく、サブスクで利用するモノになっている可能性も十分にあるのだ。

【画像】これは流行りそう! タイヤのサブスクを画像でチェック(14枚)

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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