トヨタ「ハイエース」がラリーで下馬評を覆す激走を披露! 開発者も「衝撃」

自動車評論家の国沢光宏氏が、トヨタ「ハイエース」のハンドルを握り、全日本ラリーに参戦しました。商用車をベースにしたラリー車両は、どのような結果を残したのでしょうか。

トヨタ「ハイエース」でラリーに参戦したらどうなる?

 いやいや直近の20年くらいで1番驚きました! というか今までの常識からすればありえないこと。なにしろ荷物を配達するために作られたトヨタ「ハイエース」が、狭くてコーナーきつくてアップダウンのある狭い林道を全開で走っても大丈夫だったのだから。

 運転している自分(国沢光宏)すら「凄い!」の連続だったほど。以下、ドライバー自らのレポートです。

全日本ラリーに出走した国沢光宏氏の運転するハイエース
全日本ラリーに出走した国沢光宏氏の運転するハイエース

 2021年3月のこと。チーム(CAST RACING)が「ハイエースで全日本ラリーに出場する」と発表したら、猛烈な反響でした。

 基本的に「面白い!」というポジティブなものだったけれど、2割程度は「全日本ラリーをなめているのか?」という厳しい意見。実際、私もラリー好きなため、ハイエースで出場すると聞いたら、反対こそしないけれど「なめているのか?」と思ったでしょう。

 なにしろ全日本ラリーは日本のラリーでもっとも上の格式。世界最高格式のWRCを含め、ラリーは紳士のスポーツなので排除こそしないものの、技量の低いドライバーや走行性能の低い車両は自粛します。

 最後尾の車両よりダントツに遅かったらカッコ悪い。ということでハイエースです。誰だって速いと考えないだろう。1番軽いボディで1620kg、最高出力は136馬力と非力。背だって高いし、スポーツモデルの反対といってよい。

 皆さんは「転倒するよ」と忠告してくれる。いわれなくたって私がもっとも危惧していたのだけれど、それより心配なのは「全日本ラリーに出る資格を持っているのか」という点。

 もっとも遅いクルマよりてんで遅かったら、残念ながら継続して出るべきじゃないかもしれません。

 ということでスタート時から強いプレッシャーを受けていたため全開で走りたかったが、一方で「実績ゼロ」のラリー車。コーナー攻めたら本当に転倒するかもしれない。しかも車両の完成が遅れてしまい、事前テスト一切出来ず。

 ハンドル握ったのはラリーのスタートだったほど。限界特性すら解らない車両でラリーをしようとしている。

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