なぜナンバー角度は1度傾いたらダメ? 新基準延期は救済措置? 国交省の意外な回答とは
新基準はどのようにして決まったのか
上下や左右に細かい基準が設けられた今回のナンバー表示基準ですが、何を基準にどのようにして決まったのでしょうか?
国土交通省 自動車局 自動車情報課は次のように説明しています。
「これまでナンバープレート表示の角度に関しては明確な基準がなかったので、新基準を定めるにあたっては時間をかけて審議されました。
新基準について審議していた当時(平成27年頃)に販売されていたいくつかの車種のナンバープレートを実際に目視で確認したり、角度を測ったりしながら、ナンバープレートの見えやすさなどを検討し、新基準を適用するための角度や表示方法などについて協議して決定しました」
このように、当時販売されていた実車をもとに新基準の内容が決められたそうです。
ところで輸入車のなかには、メーカー純正であってもフロントナンバーが湾曲しているモデルもあります。
このようなナンバーについては今回のナンバー表示の新基準において問題はないのでしょうか。
いくつかの輸入車ブランドに聞いたところ、いずれも「ナンバープレート表示の新しい基準には全車対応済み」とのことでした。
左右どちらかに傾いているのではなく、車体やバンパーの形状に沿って左右対称に湾曲している表示方法であれば新表示規制の基準にはそもそも抵触しないようです。
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前述のとおり、現在使用中のクルマのナンバー表示方法に関する新たなルールはいまから5年前にすでに禁止とされています。
前述の4種となる「カバー」「回転」「被覆」「折り返し」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
●カバー
無色透明であっても装着禁止です。かつて、速度違反の取締まりでナンバープレートを撮影できないようにするなどの目的で特殊なカバーをつけているクルマも見られましたが、カバー装着は一切禁止されています。
●被覆(ひふく)
規定サイズ以外のナンバーフレームやシールを張り付けるなどしてナンバーの文字が見えない、判読しづらい状態になることを「被覆』といいます。
●回転
ハーレーなど大型バイクで見られたナンバーカスタムの一種としても知られる「サイドナンバー」が該当します。
海外ではメーカー純正のバイクであっても回転が認められている例もありますが、日本ではバイクもクルマも回転装着は全面的に禁止されています。
●折り曲げ
ナンバープレートの下半分を跳ね上げる形に折り曲げる行為は違反です。
ナンバー判読をしづらくするなどの違法性が高い目的で、フロントナンバーを斜め下向きに取り付けることや、フロントナンバーを外してダッシュボードに置くなどの行為も現在は厳禁。
違反の内容によっては、懲役刑として最大3年以下、罰金刑では最大100万円以下という非常に厳しい措置が取られる可能性もあります。
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ナンバープレートは、個々の車両を識別する役割があるのはもちろん、車両が保安基準に適合し、正式に登録されていることを示す重要な役目を担っています。
犯罪や事故への迅速な対応にも役立つため、正しく表示させることは自動車メーカーとユーザーそれぞれの義務でもあります。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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