なぜナンバー角度は1度傾いたらダメ? 新基準延期は救済措置? 国交省の意外な回答とは
国土交通省はクルマのナンバープレート表示に関する新基準の適応について、いわゆる「新車」への適応を半年延長して2021年10月からにすると発表しました。延長の背景にはどんな事情があったのでしょうか。
右側への傾きは「1度たりともダメ」な新基準
2021年3月9日、国土交通省はクルマのナンバープレート表示に関する新基準の適応時期について、当初予定していた同年4月1日から半年間延期して、10月1日からとすることを公表。これは、初めての登録や検査を受けるクルマが対象です。
理由として新型コロナウイルスの感染拡大による影響を挙げていますが、具体的にはどのような理由で延期が決まったのでしょうか。
ナンバープレートは表示方法にも明確なルールがあり、「日本で現在使用中のクルマ」(既に登録されているクルマ、以下使用過程車)と、「日本で初めて登録や検査を受けるクルマ」(いわゆる「新車」)という、登録の時期によって2種類に分かれます。
現在使用中のクルマとは、すでにナンバーが付いているか、ついていたことがあるクルマという意味です。
現在、違反対象となるのは「カバー」「回転」「被覆」「折り返し」の4種に代表される「ナンバープレートの文字が瞬時に明確に読み取れない、読みにくくする」といった行為です。
使用過程車のナンバー表示方法に関する新基準は、2016年4月1日から禁止とされています。
一方、初めて登録や検査を受けるクルマについて、これらのクルマはほとんどの場合「新車」となりますが、海外で中古車として販売されていたクルマを日本へ並行輸入(=中古並行)した場合は、日本においては「初めて登録や検査を受けるクルマ」となるため、新車と同じ扱いになります。
この新車では前出の4種に加えて「角度」(前面・後面のナンバープレートに対して、それぞれ上下・左右の角度に関する規制)、「フレーム」、「ボルトカバー」についてもそれぞれ細かい基準が設けられています。
ただし追加されるこれらの基準は、ユーザーが購入する前の「新車」に関するものとなるので、原則として新基準に適用させるための作業は自動車メーカーや輸入業者が担当することになります。
ナンバープレートがバンパーのなかに埋め込まれていたり、ナンバーを固定させるためのステーが装着されていたりするクルマもあるため、ナンバープレートの表示に関しては外観デザインの設計段階から対応する必要があるからです。
新車に関する新基準は2016年から5年間の猶予期間を経て2021年4月1日から全面適用となる予定でしたが、前述のとおり2021年3月9日に国土交通省は猶予期間を半年延長することを発表しました。
国土交通省が延長を決めた理由は「新型コロナウイルスの感染拡大により、国内の自動車購入需要が停滞したことなどを踏まえ、この猶予期間を延長した」とのことです。
新型コロナウイルスの感染拡大を理由に新車販売が停滞したため、新基準に対応していない未登録新車の在庫があり、当初の基準適用となる4月1日より前、つまり3月31日までに登録できないクルマが発生したといいます。
それらのクルマを「救済」する目的で適用開始を半年間延長の2021年10月1日とした経緯があります。
国土交通省 自動車局 自動車情報課に対象となる具体的な車種について聞いたところ、乗用車の場合はホンダ「N-BOX」(2020年12月のマイナーチェンジ前のモデル)とのことでした。
そして、もうひとつのN-BOXですが、こちらはマイナーチェンジ前のモデルのフロントナンバープレートに関して左右方向の角度が新基準に対応できていないということでした。
しかし実際にN-BOXのナンバーを見ても、どこがどう傾いているのかも、何がダメなのかまったくわかりません。
ホンダ広報部に確認したところ、「N-BOXはナンバープレートの取り付け位置がバンパー中心より右側についているため、バランスをとるために右に傾く取り付け角度となっていたのですが、法規変更を受けてマイナーモデルチェンジで対応済となっております」といいます。
これまでのナンバープレートでは、左は0-10度までOKですが、右は0度、つまり1度たりとも傾いてはダメという基準になっています。
改めて対象となるN-BOXを真上から見てみると、確かにわずかですが右側(外側)傾いています。
確認したクルマすべてにナンバーフレームが付いていたため、少しわかりにくいのですが、確かにいわれてみるとホントにわずか、1度から2度ほど右側に傾いているように見えます。
なぜ、わずかな傾きで登録できなくなるのでしょうか。再度、国土交通省に確認したところ「右側には1度たりとも傾いてはだめです。新基準を満たしません」とのことでした。
なお、2020年12月24日にマイナーチェンジしたN-BOXは当然ですが全車新基準に対応しています。
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