本当の戦いは2021年!? 「ヤリス&フィット&ノート」国産小型車は異なる個性で市場激戦か

2020年は、国産コンパクトカーの3強が出揃いました。日産新型「ノート」が12月末発売となり、本格的な販売においては2021年からが勝負です。それぞれ個性を発揮していますが、どのような魅力を備えているのでしょうか。

2020年には国産3強コンパクトカー全面刷新! 2021年は三つ巴の戦い?

 2020年を振り返ると、国産コンパクトカーにとって“激動の1年”だったといえるでしょう。
 
 トヨタ「ヤリス」、ホンダ「フィット」、そして日産「ノート」と各社の主力モデルがフルモデルチェンジで世代交代した“当たり年”だったのです。

2020年は個性豊かなコンパクトカーが登場! 2021年はどうなる?
2020年は個性豊かなコンパクトカーが登場! 2021年はどうなる?

 そんなコンパクトカーを見ていると、キャラクターはまさに三者三様。しかし、バラバラながらひとつの共通するテーマが浮かび上がります。

 それは“個性化”です。各車がそれぞれどんなクルマで、どんな個性を持っているのか探ってみましょう。

 トヨタのコンパクトカーといえば、「スターレット」を前身とする「ヴィッツ」が定番の人気モデルでした。

 初代ヴィッツの登場は1999年。以来3世代20年に渡り親しまれてきましたが、ヤリスはその後継モデルです。

 今回のフルモデルチェンジでヤリスへと改名されたのですが、実は海外では日本における“初代ヴィッツ”に相当するモデルから一貫して“ヤリス”という名称で販売。現行世代から日本も海外向けと同じ名前になったというわけです。

 発売は2020年2月10日。特徴は「クルマとしての性能の進化」につきます。わかりやすいのは燃費。WLTCモード燃費はハイブリッドモデルが最高で36.0km/Lと「プリウス」を超えて国産車最高値をマーク。

 実際に走ってみても平均燃費が30km/Lを超えるのは難しくなく、筆者(自動車ライター工藤貴宏)は高速道路において「左側車線をトラックの流れにあわせた速度で走る」状況において40km/Lを超える平均燃費も経験しています。

 また、ガソリン車でも21.6km/LのWLTCモード燃費を誇り、実燃費が20km/Lを超えることも。とにかくエネルギー効率が素晴らしいクルマなのです。

 また、キビキビとしたハンドリングを実現するなど操縦性もヴィッツ時代から大幅に躍進。モデルチェンジでクルマとしての性能水準を大きく引き上げました。

 いっぽうで従来よりも車体を小さくし、後席スペースが狭くなったのが新型のパッケージング。

 その割り切りには驚きましたが、ファミリーカーとしての役割はのちに登場したコンパクトSUVの「ヤリスクロス」に譲ったと考えればトヨタの狙いが見えてきます。

 余談ですが、トランスミッションはMTも用意しているのは、MT好きには嬉しいところです。

 そんな“初代ヤリス”のデビューからわずか数日後、2月14日に発売されたのがフィット。

 4代目となる新型をひとことでいうと「数値主義からの脱却」であり、ヤリスとはまるで逆の方向を向いているのが興味深いところです。

 開発者は「これまでフィットが求めてきたライバルを超える燃費やスペック的な数値はいったん忘れ、感覚的な快適さを求めた」といいます。

 狙ったのは「心地よさ」。具体的には細いAピラーによる「心地よい視界」、沈み込み感にこだわったシートの「心地よい座り心地」など、移動や車内で過ごす時間の快適性を追求しているのです。

 搭載するエンジンはハイブリッドもガソリン車も4気筒。それはライバルが積む3気筒に比べると燃費で劣るといったウィークポイントも否定できません。

 しかし、振動の少なさやフィーリングなど、感覚的な部分では4気筒に分があり快適性では確実に勝っていて、乗り比べればその良さが理解できます。

 新型フィットは、明らかにヤリスとは違ったキャラクターに進化しました。

 数値の向上ではなく、新しい価値観を目指したのです。また「クロスター」というボディをリフトアップしたクロスオーバーSUVモデルを新たに用意するなど、時代に対応した変化も興味深いところです。

 ただ、クルマ好きにとって残念なのは従来モデルの「RS」のようなスポーティグレードが存在しないことかもしれません。

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