試乗で判明! VW「T-Roc」は「シロッコ」の後継車かもしれない!?
「T-Roc」のスポーツクーペ的な走りには理由があった!
筆者が初めてフォルクスワーゲンT-Rocというクルマを目の当たりにしたのは、実に3年近くも前まで遡る。2018年2月に訪れたモナコ市内のVWディーラー店舗を、外から覗きこんだ時のことである。
そののち、日本への正規導入までにはずいぶん時間が経過してしまったようだが、それでもT-Rocのスタイリッシュなボディの新鮮味が薄れてしまうことはなかったようだ。
●往年のシロッコの正統な後継モデル
フォルクスワーゲンが自ら標榜するように、T-Rocは「クーペSUV」。大きなキャビンを持ちルーミーなティグアンと比べると、低められたルーフや傾斜を強めたA/Cピラーが、よりスタイリッシュなプロポーションを演出する。
また、フロントからサイドに至るまでかなり強めのエッジが立てられることで、アグレッシブな印象も獲得。さらにリアフェンダーには大きめのキックが設けられ、筋肉質なキャラクターもアピールするなど、現代のフォルクスワーゲンらしい端正さを残しつつも、よりスタイルコンシャスに仕立てられている。
ここで筆者の脳裏に浮かんできたのは、フォルクスワーゲンのアイコン的名作「ゴルフ」の初代からともに歩んできたクーペモデル、歴代「シロッコ(Scirocco)」の存在である。
元祖VWゴルフに先行するかたちで1974年にデビュー、1981年まで生産された初代シロッコを皮切りに、ゴルフIIをベースとして1981年から1988年まで(EU市場では1992年まで)生産された2代目、そして長い沈黙を破って2008年に復活した3代目ともに、長らく高い人気を誇ってきた。
ところが、2017年をもって3代目の生産が終了され、以後、後継モデルの設定はないままとなっているのだが、筆者の眼にはT-Rocこそが歴代シロッコの後継車と映る。
SUVがいわゆるブームの域を超えて、乗用車のひとつのジャンルとして地位を確立した現代。フォルクスワーゲンの主軸であるCセグメントの実用車レンジは、もともとの本流であるゴルフに加えて、ティグアンも分担したといわねばなるまい。
そして、そのクーペ版としての役割をT-Rocが一身で担うことになったとすれば、すべてに合点がいくかと思われる。
つまりT-Rocは、往年のシロッコ、さらにいえば1950年代に端を発する「カルマン・ギア」まで源流を遡ることのできる、カジュアルだけど由緒正しい「フォルクスワーゲン製クーペ」の正統な末裔……ということなのだ。
ちなみに2006年のパリ・サロンで参考出品され、2年後に正式デビューする3代目シロッコを示唆したコンセプトカーには、それを読むものに「scIROCco(シロッコ)」を想起させるかのような「IROC(アイロック)」と名づけられていた。
「IROC」と「T-Roc」もまた、その関係性を想起させるもの。今回のテストドライブによって、T-Rocのスポーツクーペ的な走りを確かめることのできた筆者は、そう確信したのである。
●VW T-Roc TDI Style Design Package
フォルクス ワーゲン Tロック TDIスタイル デザインパッケージ
・車両価格(消費税込):404万9000円
・全長:4240mm
・全幅:1825mm
・全高:1590mm
・ホイールベース:2590mm
・車両重量:1430kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHインタークーラー付ターボ
・排気量:2968cc
・エンジン配置:フロント横置き
・駆動方式:前輪駆動
・変速機:7速DSG
・最高出力:150ps/3500-4000rpm
・最大トルク:340Nm/1750-3000rpm
・公称燃費(WLTC):18.6km/L
・ラゲッジ容量:445Lー1290L
・燃料タンク容量:50L
・サスペンション:(前)マクファーソンストラット、(後)トレーリングアーム
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前)215/55R17、(後)215/55R17
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。