池袋暴走、車の欠陥?「ブレーキ踏んで加速した」上級国民の主張はありえるのか
飯塚被告が「ブレーキを踏んだ」と主張する背景とは
2代目プリウスのブレーキは確かに回生と油圧を協調制御するため、ブレーキペダルは単なるスイッチになっている。電子部品のトラブルで効かなくなる可能性もあります。

ただし! そんなことはトヨタも国土交通省もわかっている。電子部品が壊れたときのバックアップシステムを持つ。
ブレーキを踏んで減速しなければさらに踏み込む。するとバックアップの機械式ブレーキが物理的に機能します。杖を使わないと歩けない高齢者だとブレーキロックさせるほどの急ブレーキにこそならないまでも、普通に減速出来るようになっています。
またブレーキとアクセルは別系統。ブレーキが壊れたのと同時にアクセル全開になる確率は天文学的です。
目撃者によればブレーキランプがついておらず、記憶だと加速していたという。ブレーキランプは、これまた別系統になっており、ブレーキペダルを踏めば点灯する。これも同時に壊れる可能性を計算すれば「ありえない」。
そもそも加速していたということはブレーキじゃなくアクセルを踏んでいたことにほかならない。
本来なら、弁護士がもう少しクルマの勉強をして「車両のトラブルはあり得ないから運転ミスを素直に認めて減刑を嘆願しましょう」という方向に持っていくべきだろう。
おそらく飯塚被告が「絶対にブレーキを踏んだ」といい張り、弁護士も「これは面白い事案だ」と乗っかった? 実際、これだけ報道されていますから弁護士も宣伝になるでしょう。
百歩譲って被害が物損程度なら、こういった争いも意味があると思う。けれどこの事故は亡くなった方も大けがをされた方もいます。遺族の感情だってある。
もっといえば、こんなデタラメの言い訳が通用しているということ自体、社会システムを混乱させます。裁判所は「全く話にならない。証拠全て却下!」くらいの毅然とした姿勢を見せて欲しいです。
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。