セダンのSUV化がクラウン報道で過熱 「スカイライン」や「アコード」もSUV化するのか
トヨタのなかでも長い歴史を持つ「クラウン」。日本の高級セダンをけん引してきたクラウンに「セダン廃止、次期型でクロスオーバー化を検討」という報道が話題となりました。では、日産「スカイライン」やホンダ「アコード」はクロスオーバー化しないのでしょうか。
続々と広がりを見せる「クロスオーバー化(SUV化)現象」
近年、これまでセダンやハッチバックといったボディタイプが主流だったモデルがその名を用いつつ、クロスオーバー化(SUV)しています。
トヨタでは、「ヤリス」の派生車として「ヤリスクロス」、「カローラ」の派生車の「カローラクロス」(日本未導入)です。では、ほかの国産メーカーでは同様の事例はないのでしょうか。
かつて日産では、「スカイライン」の派生車として「スカイラインクロスオーバー」を日本でも発売していました。
また、最近では日本を代表する高級セダンのトヨタ「クラウン」が次期型モデルでセダンを廃止して、クロスオーバー化するという報道が話題となっています。
ただし、ひと言でクロスオーバー化といっても同じプラットフォームを使って開発・販売する際にはふたつの方法があります。
ひとつは、前述のようにヤリスやカローラなど代表的なモデル名を用いてさまざまなボディタイプを展開する方法です。
とくに、カローラの場合は、セダンの「カローラ」、ステーションワゴンの「カローラツーリング」、ハッチバックの「カローラスポーツ」、クロスオーバーの「カローラクロス」というラインナップ。
一方で、カローラと同じくプラットフォームは同じでも車名を別にする方法では、例えばトヨタのTNGAプラットフォーム「GA-K」の場合、セダンのトヨタ「カムリ」「アバロン」、レクサス「ES」、SUVの「RAV4」、「ハイランダー」、「ハリアー」、ミニバンの「シエナ」と異なる車名やコンセプトとして展開されています。
これらは、国や地域のニーズや文化、そしてそのブランドに対する国毎のイメージなどによって、異なるため一概に決められるものではありません。
しかしながら、ある程度認知された車名を用いて販売するほうが、ゼロから築きあげるよりも、販売台数を稼げる確率は高くなります。
では、なぜ最近のSUV人気においてトヨタ以外の国産メーカーはヤリスやカローラのように認知された車名を付けたSUVを販売しないのでしょうか。
日本でのSUVモデルのラインナップについて、ホンダは次のように話します。
「現在、グローバルでは地域に適したモデルを投入しています。日本では、コンパクトな『ヴェゼル』、ミドルサイズの『CR-V』です。
また、2020年2月にはコンパクトカー『フィット』で異なる5つのタイプを設定しましたが、その際に『クロスター』というSUVテイストを盛り込みつつ、車高をほかのタイプより挙げているものを展開しています。
日本市場では、コンパクトSUVの需要が高まっていますが、ホンダではヴェゼルとフィットクロスターでそのニーズに対応しています。
そのため、フィットクロスターがヤリスでいうヤリスクロスのような存在といえます」
一方で日産は、国内のSUVラインナップについて次のように話しています。
「日本では、2010年からコンパクトSUVとして『ジューク』を販売していました。その後、2020年6月には新型コンパクトSUVとして『キックス』を投入しています。
ジュークは、2019年秋に欧州で2代目にフルモデルチェンジしています。そのジュークを日本に導入するかどうかについて検討はしておりましたが、ジュークはデザインは優れているものの、後席や荷室の狭さが日本のユーザーには適していないのではないかと考えました。
キックスは、後席も荷室も広く確保しており、デザイン性だけではなく実用性も兼ね備えています。
そのため、日本には新型キックスを導入し、後席や荷室の広さよりもデザイン性を重視する傾向がある欧州では新型ジュークを販売しています。
現在、ほかの自動車メーカーでも同じですが、グローバルにおいてそれぞれの国や地域で『選択と集中』をおこなっており、それは日本市場でも同様です」
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65年という長い歴史を持つクラウンは、初代モデルからセダンを設定し、時代によってバンやハッチバックなどさまざまなボディタイプを展開していました。
しかし、今回の報道では昨今のセダン需要の低迷から「セダンを廃止して、クロスオーバー化を検討」となっています。
今後、クラウンがどのような方向性を示すのかは現在では、定かではありませんが、ベースとなるセダンが無くなるというのはひとつの時代の象徴なのかもしれません。
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