世界最強2リッターは421馬力! メルセデスのホットハッチ「AMG A45S」の衝撃を味わった

正確無比のハンドリングに接地感の変わらない足まわり

 シャシ性能もスゴイのひとことだ。

「メルセデスAMG A45S 4MATIC+」のAMGパフォーマンスステアリングには、手を離さずにセッティングが切り替えられるAMGドライブコントロールスイッチも装備される
「メルセデスAMG A45S 4MATIC+」のAMGパフォーマンスステアリングには、手を離さずにセッティングが切り替えられるAMGドライブコントロールスイッチも装備される

 今回は公道で、しかも大雨のなかでのドライブだったので控えめに走ったが、それでも、いや、だからこそよりスゴさがわかった面もある。まず接地感がハンパない。路面をガッチリ掴む感覚が常にあって、タイヤのグリップをフルに使って走れるから、ヘビーウエット路面でもぜんぜん不安を感じない。

 足まわりはかなりハードなのに、乗り心地が悪くないことにも驚かされる。

 ガツンと衝撃が来そうな状況でも微妙にいなしが効いていて、振動も瞬時に収束させて終始フラットな姿勢を強制的に保とうとしているかのようだ。「ピタッ」どころではなく「ビターッ」という感じだ。硬質な着座感ながらピタッと身体になじむスポーツシートとの一体感も心地よい。

 さらには、よくぞこれほど俊敏で正確にできるものだと思わずにいられないハンドリングにも感心する。タイトなワインディングもお手のものだ。

 末尾に「+」のつくパフォーマンス志向の4WDシステム「AMG 4MATIC+」が、前後のトルク配分を100:0から50:50で連続可変制御するのに加えて、同車ではリアデフに内蔵された「AMGトルクコントロール」が後輪の左右輪間でも適宜トルク配分をおこなう。

 リア外輪にも積極的にトルクを伝えるようで、安定したなかでもムズムズくる感覚があるのも楽しい。これらが効いて、FRのように俊敏な回頭性とFRにはない安定性を、抜群のコントロール性とともに両立している。

 ESPにはスポーツハンドリングモードやレースモードも設定されている。サーキットを全開で走ったら、さぞかし楽しいことだろうと思う。一方で、スポーツモードは高性能を日常的に味わえる感じになり、モデラートモードはだいぶ控えめになる。

※ ※ ※

 もしもの話だが、市販車で公道キャノンボールをやるとしたら、一番早く目的地に到着できるのでは、現時点ではおそらくこのクルマじゃないだろうか。それは小柄で身軽なことはもとより、絶対的な動力性能の高さと、それを使い切ってどんな路面状況でも安心して踏んでいけるという意味でだ。

 800万円級のハッチバック車というとかなり割高な印象はあるが、この走りを味わえると思えば文句はない。エンジンもフットワークも、わかりやすいスゴさに満ちている。

 ここまでやっていたとは恐れ入った。メルセデスAMGが掲げる「ドライビング パフォーマンス」をまさしく体現した、ホットハッチの中のホットハッチだ。

「メルセデスAMG A45S 4MATIC+」の走り
「メルセデスAMG A45S 4MATIC+」の走り

Mercedes-AMG「A45S 4MATIC +」

・車両価格:798万円
・全長:4445mm
・全幅:1850mm
・全高:1410mm
・ホイールベース:2730mm
・車両重量:1640kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
・排気量:1991cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速DCT(DCT8G)
・最高出力:421ps/6750rpm
・最大トルク:500Nm/5000-5250rpm
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・タイヤ前後:245/35R19
・WLTC燃費:11.4km/L

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