新ジャンルに挑戦したクルマたち! 斬新な発想で高評価だった車3選
クルマにはさまざまなジャンルが存在しますが、セダンはセダンらしく、SUVはSUVらしくと、王道のデザインとすることが一般的です。一方で、斬新な発想から企画・デザインされたモデルも存在。そこで、新ジャンルに挑戦して高い評価を得たモデルを3車種ピックアップして紹介します。
王道ではないが高く評価されたクルマを振り返る
クルマのデザインは販売を左右する重要な要素です。そのため、各ジャンルのクルマは奇をてらうことを避け、王道をいくデザインを採用するのが一般的です。
たとえば、セダンはセダンらしく、SUVはSUVらしくと、誰が見てもわかりやすいデザインが好まれる傾向があります。
一方で、そうした王道をいかず、斬新な発想から企画・デザインされたモデルも存在。そこで、新ジャンルに挑戦して高い評価を得たモデルを3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「iQ」
スマート「フォーツー」や、スズキ「ツイン」のような2シーターのマイクロカーは、都市部の道路事情や駐車場事情を考慮して開発されたモデルです。しかし、日本では2シーター車というとユーザーが限られてしまい、大ヒットには至りませんでした。
そこでトヨタは、マイクロカーながらも4シーターとした「iQ」を2008年に発売。
ボディサイズは全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mmと、全長は軽自動車よりも400mm以上も短く、このなかに4つのシートを収めるために、さまざまなアイデアが詰め込まれています。
まず、iQ専用に設計されたトランスミッションによって、フロントタイヤをエンジンよりも前方に配置。併せてエアコンユニットも専用の小型モデルを開発したことで、助手席足元の空間を確保しました。
さらに、燃料タンクを床下に格納し、運転席と助手席のシートバックを薄型化することで、リアシートの空間を確保して4シーター化を実現。
一方で、これほどまでにコンパクトな4人乗りモデルでは、衝突時の安全性が懸念されますが、追突事故の際に後席の乗員を保護する、世界初の「リヤウインドウカーテンシールドエアバッグ」を全車に標準装備するなど、安全面では妥協していません。
iQの優れたパッケージングや技術は国内外で高く評価されましたが、快適に乗れる限界は大人3人までだったため、短距離移動では軽自動車に分がありました。
それでもiQはすでにマイクロカーの人気が高かった欧州でヒットしましたが、日本ではヒットしたとはいえず、2016年に生産を終了。その後、同様なコンセプトのモデルは出ていません。
●スバル「レガシィ グランドワゴン」
1990年代に、アメリカでは都市部でピックアップトラックをベースに、ステーションワゴンタイプのボディを架装したSUVの人気が高まりました。
そのため、日産「パスファインダー(テラノ)」や、トヨタ「フォーランナー(ハイラックスサーフ)」がアメリカでも大ヒットを記録。
しかし、当時アメリカでの販売に力をいれていたスバルには、SUVに仕立てるベース車がありませんでした。
そこでスバルは既存の「レガシィ」のセダン/ステーションワゴンをベースに、内外装をSUV風に仕立てた初代「アウトバック」を1994年に発売。
日本では翌1995年に、「レガシィ ツーリングワゴン」をベースにした「レガシィ グランドワゴン」の名でデビューしました。
エンジンは自然吸気の2.5リッター水平対向4気筒エンジンのみので(北米仕様は2.2リッターもあり)、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定し、駆動方式はフルタイム4WDを採用。
外観では最低地上高が上げられて、バンパーやフェンダーアーチ、ボディサイドをグレーに塗装し、丸形のフォグランプを装備するなどによって、SUVらしさを表現しています。
アウトバックはアメリカで大ヒットし、スバルのブランドイメージを高め、日本でも新ジャンルのクロスオーバーSUVとしてヒットします。
その後、車名を「レガシィ ランカスター」、「レガシィ アウトバック」と改め、国内向けの現行モデルは5代目となり、北米では2019年に6代目が登場。
ステーションワゴンをベースにクロスオーバーSUVを作り上げたスバルの手法は、後にアウディの「オールロード クアトロ」シリーズや、ボルボの「クロスカントリー」シリーズの登場に大きな影響を与えたといえます。
いろいろ言われてるアコードエアロデッキだけど、ほぼ同時期に出ていたワンダーシビックやGAシティー(2代目)、そして軽自動車のトゥデイ(初代・2代目)に至るまで、あの時期のホンダを象徴するボディ形状だと思うけどな。