フェラーリの偽物に注意!! 本物の「跳ね馬」の見極め方を伝授します

フェラーリが認める正式な「跳ね馬」のデザインはこれだ!

 さて、マウロからフェラーリの「キャバリーノランパンテ(跳ね馬)」について、当時の興味深い話を聞くことができた。

マウロが矢印を入れて描き直したイラスト
マウロが矢印を入れて描き直したイラスト

「1980年代、フェラーリのロゴを付けたグッズが世の中に溢れていたんだ。

 今は『ブランド』というものの価値が定着して、『ブランディング』という価値観がしっかりと企業に根付いている。しかし当時は、どこのブランドも結構適当だったんだ。

 フェラーリでいえば、実は跳ね馬でさえあれば良かった。でもよく見ると、いろんな跳ね馬があってね、向いている方向はみな左で同じなんだけど、ちょっと上向いていたり、太っていたり、足の高さが違っていたり、全体的な角度が違っていたり……と、デザインが統一されていない色んな形の跳ね馬がフェラーリのエンブレムとして世の中に出回っていたんだ。

 たぶん、この状況を見かね、ある時フェラーリ社から業者に向けて、商標登録された跳ね馬のイラストが送られて来たんだ。

 フェラーリのエンジニアが描いたらしいけど、角度が表示されているんだけど、どうもわれわれ職人には分かりにくい。もっと分かりやすくするにはことはできないものか……。

 そこでね、私は、送られてきたイラスト画(32度と58度)を描き直し、跳ね馬の中心に垂直線(矢印)を引いたんだ。それがこのイラストさ。跳ね馬の後ろの左足のつま先から垂直線を引くと右の耳の先にあたる。(矢印をなぞりながら)こうすると一目瞭然、とても分かりやすいだろう」

 確かに、たった1本の補助線を引くだけで、こんなに跳ね馬が凛となるとは。

「我々スケドーニ社は、旅行バッグには必ずフェラーリのマークを入れなければならない。そこで私は試行錯誤しながら自分なりに型押しの機械を作ったんだ。

 当時はフェラーリの職人も型押しに慣れていなくて、『どのように皮革にフェラーリのロゴを正確に入れられるのか』と、フェラーリ本社にレクチャーしに行ったものだよ」と懐かしそうに話してくれるマウロ。

「そのうちレクチャーに疲れてしまって、自家製の型押し機械をフェラーリに譲ったよ、これさえあればフェラーリのロゴを正確に反映することができるからな」

 1990年代に入ると、モンテゼモーロ体制になり、ブランディング部門が強化され、マーチャンダイジング商品が正式に発表されるようになった。

 それと同時に、マラネッロにオープンした「フェラーリストア」も次々に世界中で展開されるようになった。世界各地のハブ空港でフェラーリストアを見かけた人もおおいだろう。

 そしてこの現象に続けとばかりに、他の自動車メーカーも自社のブランディングに力を入れるようになったというわけだ。

 皆さんもこれを機に、手元にあるフェラーリの跳ね馬をよく見て、右の耳と後部左足のつま先に線を引いてみてはいかがだろう。1980年代以前は、いろいろな跳ね馬に出会うことになり、それはそれで面白いかもしれません。

【画像】本物のフェラーリエンブレムの見極め方を伝授(12枚)

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