トヨタが「2000GT後継モデル 新型GR GT」発表! “本家”の「2000GT」はどんなモデルだった? 「カローラ5台分の価格」でトヨタ初技術も採用! 元祖「和製スーパーカー」とGR GTの関係性
まもなく登場から60年を迎えるトヨタ「2000GT」とはどのようなクルマだったのでしょうか。
国内初の本格的な高級GTカーとしてデビューしたトヨタ「2000GT」
1967年10月にデビューしたトヨタ「2000GT」。
デビューから60年近く経った令和の時代にその「後継者」となるスペシャルモデルが披露されていますが、名車として語り継がれているこの2000GTについて振り返ってみましょう。

1964年、プリンス自動車(当時)が突貫で製作したセダン「スカイライン2000GT」が、ポルシェのレーシングカー「904GTS」と熱いバトルを広げ、日本中が熱狂した「第2回日本グランプリ」の開催後、当時のトヨタがヤマハ発動機の協力を得て開発に着手したのがトヨタ2000GTです。
1965年の「第12回東京モーターショー」でプロトタイプを発表し、1967年5月に発売された2000GTはトヨタ内製のデザインであり、ボディの下にはX形バックボーンフレームを備え、2リッター直列6気筒DOHCエンジン、ダブルウィッシュボーン/コイルの4輪独立懸架、4輪ディスクブレーキ、4輪マグネシウム合金製ホイールを採用。
当時の日本の量産車としては異例の、さまざまな技術や機構が初めて採用された国内初の本格的な高級GTカーだったのです。
2000GTのボディサイズは、全長4175mm×全幅1600mm×全高1160mm、ホイールベースは2330mm、車両重量は1120kg。
2000GTの当時の車両本体価格は238万円と、初代「カローラ スタンダード」の価格43万2000円の実に5倍、高級車である「トヨペット クラウン(3代目)」の上級グレード「スーパーデラックス」が112万円であったことからも、いかに2000GTが別格の存在であったかが想像できます。
性能面においても別格の存在であり、最高速度220km/h、0-400m加速15.9秒、0-100km/h加速が8.6秒と、世界トップクラスを誇るモデルであったのです。
さらに、発売前に3つの世界記録と13の国際新記録を樹立するなど、日本車の新たな時代の幕開けともいうべきモデルであったことは間違いありません。
しかし、生産期間はわずか3年、生産台数も337台で消滅。2000GTはあらゆる点において特別な存在となり、現在にいたるのです。
そして2025年12月、TOYOTA GAZOO Racingが発表した「GR GT」は、まさに現代の2000GTともいうべきモデルです。
新型GR GTは、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を深化させた「GRブランドのフラッグシップスポーツカー」であり、メーカー自身が「かつてのトヨタ2000GT、レクサスLFAのようにフラッグシップの位置付けとなる」モデルだと明言しています。
駆動方式にはFRを採用し、車両パッケージを中心に徹底した低重心化を進め、軽量・高剛性を実現するトヨタ初採用となるオールアルミの骨格や、空力性能を追求したデザインを採用しています。
パワーユニットはドライサンプ方式となる新開発の4リッターV型8気筒ツインターボが搭載され、ドライブトレーンには炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製のトルクチューブとトランスアクスルのレイアウトが採用されています。
さらに、リアのトランスアクスルには、8速ATと1基のモーター、機械式LSDを搭載するなど、あらゆる技量のドライバーにとって扱いやすさを追求しつつも、クルマとしっかり対話できるドライビングパフォーマンスを提供しているあたり、乗り手を選ぶようなモデルではないことが想像できます。
GR GT(プロトタイプ)のボディサイズは、全長4820mm×全幅2000mm×全高1195mm、ホイールベースは2725mm、車両重量は1750kg以下となっています。
マスタードライバーの“モリゾウ”こと、トヨタ自動車の豊田 彰男会長の存在があるからこそ誕生したモデルであり、生まれながらにして日本の自動車史にその名を刻むことを運命づけられた新型GR GT。
デビューから60年近くが経過した2000GTがいまだに特別な存在として語り継がれているように、新型GR GTも2085年頃の時代にはどのような評価を受けているのでしょうか。
Writer: 松村透
株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。





















