車の常識が覆る!メルセデス・ベンツ新型「Sクラス」のトピックは新工場がイチオシ!?の訳とは
環境に応じて、レベル3だけでなくレベル4の自動運転にも対応!
プレゼンはこの先、夜間のドライブシーンに移り、高度運転安全支援システムや、仮に事故が発生した場合の後者席用エアバッグシステムなどに移りました。
こうした分野ですら、ユーザー・エクスペリエンスという概念を感じます。
さらに、新型Sクラスの目玉として、乗用車として世界初採用となる自動運転技術がふたつあります。
ひとつは、レベル3の自動運転に対応するDRIVE PILOT。
レベル3の自動運転では、運転の主体が運転者からクルマのシステムに移行します。そのため、自動運転中は読書やスマホ操作などが可能となります。
ただし、システムが自動運転の継続が難しいと判断すると、運転者に対して運転復帰をリクエストしてきます。
そのため、シートを倒しての睡眠や、飲酒など、運転復帰がすぐにできなくなる行為は禁止されています。
実施は、ドイツでの道路交通法の施行などに合わせるかたちで、2021年半ばに装備される予定。レベル3走行が可能な場所は、ドイツ国内の高速道路での渋滞中で速度が60km/h以下としています。
参考までに、スバル新型「レヴォーグ」が採用するアイサイトXも、高速道路で渋滞中に約50km/h以下でハンズオフ走行が可能ですが、運転の主体は運転者にあるためレベル2の自動運転に相当します。
そのため、ハンズオフ中に読書やスマホ操作は許容されません。
もうひとつが、インテリジェント・パーキング・パイロットです。
スマホ操作によって、完全無人で駐車が可能となります。車内無人なので、レベル4の自動運転となります。
メルセデス・ベンツ本社がある独シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ博物館では実証試験がおこなわれ、安全性について十分に検証されています。
実用化には駐車場に新たなインフラ整備が必要のため、今後ドイツ国内を中心に対応する駐車場が徐々に増えることが期待されています。
結局、今回の新型Sクラスのオンライン発表会では、後半に短くサスペンションシステムなどが紹介されただけで、プラットフォームやエンジンについての技術解説はまったく目立ちませんでした。
クルマの在り方が大きく変わった、と感じられる会見内容だったと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
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