車の常識が覆る!メルセデス・ベンツ新型「Sクラス」のトピックは新工場がイチオシ!?の訳とは
メルセデス・ベンツが2020年9月2日に世界初公開した新型「Sクラス」は、その発表会で紹介された進化の内容がこれまでにないものだったといいます。クルマのデザインや動力性能といったことではなく、生産工場の進化が最初にアピールされたというのですが、いったいなぜアピールポイントが従来と異なるのでしょうか。
メルセデス・ベンツ新型「Sクラス」 驚きのオンライン発表内容とは
メルセデス・ベンツが2020年9月2日にオンラインでおこなった新型「Sクラス」発表会を見ながら、クルマの常識が根底から覆るほどの凄みを筆者(桃田健史)は実感しました。
凄みの理由は、プレゼンテーションの順番です。新型Sクラスで注目されているポイントとは、いったい何なのでしょうか。
オーラ・ケレニウスCEOが最初に紹介したのは、製造工場である「ファクトリー56」でした。
一般的な自動車工場のような流れ作業をするラインはなく、完全自動走行する台車に乗った車体が組立工程を進む様子が映し出されました。
また、カーボン(CO2)ニュートラルや、再生可能エネルギーを活用した省エネ、IT技術を駆使した効率的な工場運用をアピールしました。
これには、理由があります。近年、企業の評価基準として注目されている、ESG投資への対応です。
日本の経済産業省によると「従来の財務情報だけではない、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資」という意味です。
Sクラスは、メルセデス・ベンツを象徴するモデルであり、古くはアンチロックブレーキやエアバッグを世界に先駆けて標準装備化するなど、各種の先端技術のショーケースとなってきました。
そのSクラスで今回、イチオシの話題がエンジンでも、シャシでも、はたまた自動運転でもなく、ESG投資なのです。
まさに、自動車産業界の大きな変革期であることが、世界中に伝わったと思います。
ESG投資に次いで、ケレニウスCEOが紹介したのが、MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)です。
音声認識や通信によるコネクティビティなどが、ユーザーにとって分かりやすいユーザー・エクスペリエンス(UX)でしょう。
MBUXは第二世代となり、音声認識の精度が上がり、かなりの長文で複数のリクエストがあっても的確に対応します。また、自宅の照明のオンオフなども車内から音声でリモートコントロールが可能です。
まさに、動くスマートフォンのような感覚です。
さらにプレゼンの流れで、外観デザインやインテリアデザインの話になりました。
ところが、担当デザイナーの口調は一般的なクルマのデザインについてではなく、視覚と触覚によるユーザー・エクスペリエンスという観点を強調していることが分かります。
とくにインテリアでは、間接照明のようなレイアウトがあり、接近するクルマに対するブラインドスポットウォーニングや衝突被害軽減ブレーキで赤く発色する機能もあり、単なるインテリアデザインではなく、ユーザー・エクスペリエンスとして捉えることが必然なのでしょう。
デザインについて、メーカー側のクルマに対する考え方が根本的に変わったように感じます。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。