庶民の足なのにクセがすごい!? ユニークなデザインのコンパクトカー3選
現在、新車で販売されているコンパクトカーは、メーカーごとに個性を主張するデザインとなっていますが、かつてはもっとユニークなフォルムのコンパクトカーが存在しました。そこで、個性的すぎるデザインのコンパクトカーを3車種ピックアップして紹介します。
デザインが秀逸なコンパクトカーを振り返る
1リッターから1.5リッタークラスのエンジンを搭載したコンパクトカーは、軽自動車よりも広い室内と余裕のある走りで、いまも高い人気を誇っています。
現行モデルのコンパクトカーは、各メーカーとも個性を主張するデザインを採用して販売を争っていますが、かつてのコンパクトカーは、いまよりももっとユニークなデザインのモデルが存在。
そこで、個性的すぎるデザインのコンパクトカーを3車種ピックアップして紹介します。
●日産「チェリー」
1970年になると、欧州車を中心にコンパクトカーはFFを採用するようになり、小さな車体でも広い室内空間を確保できるFFは、日本でも広まりつつありました。
そこで日産は、1970年に同社初となるFF車として「チェリー」を発売。軽自動車からの乗り換えや、初めてマイカーを購入するユーザーをターゲットに開発されました。
発売当初のボディバリエーションは2ドアセダンと4ドアセダンで、ボディサイズは全長3610mm×全幅1470mm×全高1380mm(2ドア)とコンパクトですが、FFの恩恵で室内の広さはひとクラス上のモデルと同等だったといいます。
当時、すでに人気となっていた「サニー」や「ブルーバード」が直線的なラインで構成されたボディだったのに対し、チェリーは丸みを帯びたデザインを採用。
切り立ったフロントフェイスに対して傾斜したリアウインドウの対比がユニークで、Cピラーの形状も個性的でした。
搭載されたエンジンは1リッターと1.2リッターの直列4気筒OHVエンジンで、トランスミッションをエンジンの下にレイアウトする「2階建て構造」を採用することでコンパクト化に成功。
1971年には、よりスポーティなクーペが追加され、なかでも「クーペ1200X-1」はSUツインキャブが装着されて、1.2リッターOHVエンジンながら最高出力80馬力を誇りました。
さらに、1973年には「スカイラインGT-R」や「フェアレディ240ZG」をイメージさせるオーバーフェンダーが装着された、「クーペ1200X-1R」が登場。当時、若者から人気を博し、レースでも活躍します。
そんな初代チェリーで培ったFFのノウハウは、後継車の「チェリーF-II」や、初代「パルサー」へと受け継がれましたが、外観のデザインは平凡なものになってしまいました。
●ホンダ「シティ」
1972年にホンダは新世代のFFコンパクトカーの初代「シビック」を発売。秀逸なパッケージングと経済性、走行性能に優れた1.2リッターエンジンを搭載し、日米で大ヒットします。
そして1979年に2代目シビックがデビューすると、グローバルでの競争力を強化するためにボディサイズをひとまわり拡大。そこで、初代シビックに代わるリッターカーとして、1981年には3ドアハッチバックの初代「シティ」が登場しました。
シティはそれまでのコンパクトカーの常識を覆す高い全高と、短いフロントノーズ、台形フォルムの外観デザインなどで、衝撃的なデビューを飾り、賛否両論を巻き起こします。
しかし、広い室内と十分なパワーで低燃費の1.2リッターエンジンや機能美ともいえるデザインは、ユーザーから絶大な支持を受け、ヒット作になりました。
また、シティと同時発売された原付バイク「モトコンポ」をシティのトランクに積載できるなど、ホンダらしさあふれる斬新なアイデアも盛り込まれています。
そして後に「シティ ターボ」、「シティ カブリオレ」、「シティ ターボII」、さらにハイルーフの「シティ マンハッタンルーフ」とラインナップを拡充。
さらには商用バンの「シティ プロ」をラインナップするなど、あらゆるニーズに対応していました。
その後、1986年に2代目シティが登場しましたが、初代とは真逆ともいえる低い全高のフォルムとなり、秀逸な走りは高く評価されたものの、初代ほどのインパクトはありませんでした。