全長4.2mで6速MT! レクサス「小さな高級車」に「304馬力のスポーツ仕様」登場! 高性能「ターボ4WD」×上質インテリア採用! 「LBX RR」は“現代版ホットハッチ”か?
レクサスのコンパクトSUV「LBX」に追加されたハイパフォーマンスバージョンの「MORIZO RR」。小さな高級車でスポーツカーというその成り立ちを、ちょっと懐かしい視点を交えて探ります。
小さな高級車として成功した「LBX」
2024年7月、レクサスは同ブランドの最小SUVである「LBX」に、「MORIZO RR」というスポーツグレードを追加。大きな話題を呼んでいます。
実のところ、「レクサスのSUVのスポーツグレードね。ふぅーん」とスルーしてしまう人もいるかもしれないと思うのですが、LBX MORIZO RRは、いろいろな意味でいまの時代を象徴した、大いに注目すべきモデルといえます。
LBXはいわゆるBセグメントに属するクロスオーバーSUV。トヨタ「ヤリスクロス」「ヤリス」「アクア」「シエンタ」などと同じ「GA-Bプラットフォーム」を用いて開発されており、事実上のヤリスクロスの兄弟車です。
しかしレクサスブランドで販売されるため、車体は完全に専用のもの。
さらにボディ剛性・乗り心地の良さ・パワートレーンの性能向上が図られているほか、静粛性・高級な内装などを備えており、レクサス各車に匹敵する上質さが与えられています。Bセグメントといえば小型車。つまりLBXは「小さな高級車」ということになります。
この小さな高級車は古くからあります。
「オースチン1100」をベースに、ロールスロイスの内装を仕立てていたほどの名コーチビルダー・バンデンプラ社がウッドと本革を贅沢に使った内装を作り上げた「プリンセス」。
ルノーでは大衆車の「5(サンク)」に本革シートを奢った「バカラ」。フィアットの小型車とプラットフォームを共用しつつ、オリジナルボディと人工皮革のアルカンターラなどでシックな内外装に仕立てたランチア「イプシロン」。
そして近年ではシトロエンの高級サブブランドDSが作った「DS3」などがあげられます。
レクサスのクールで高級なブランドイメージ、売れ筋のコンパクトSUVというジャンル、マッチョなボディから発散される快活さ、上質な内装はたしかに魅力的で、乗りやすいボディサイズや買いやすい価格感もあってLBXはレクサスで一番売れる車種となりました。
また「内装だけ高級」な高級車ではないことも、その理由に加えることができるでしょう。
車体の大きさが車格のヒエラルキーを左右しがちだった日本の自動車市場では、小さな高級車は売れにくい傾向にありました。
かつてトヨタも、「コロナ」クラスで「クラウン」やそれ以上の高級車を追求した「プログレ」、日産では「サニー」をベースに上位車種「ローレル」の意匠を盛り込んだ「ローレルスピリット」、マツダも「ベリーサ」を販売するなどいくつもの小さな高級車が生まれましたが、その多くはヒットしませんでした。
そう考えると、LBXは日本市場では成り立ちが難しい「小さな高級車」として成功したモデルと言えます。
なおLBXの「B」はブレークスルーを意味しますが、まさに新しい価値観を生み出しているのです。
なおレクサスの主戦場・北米ではLBXの車体は小さすぎることから、日本・欧州向けの車種となっています。
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