スライドドアじゃなくても人気!? 軽の流行乗らずもスズキ「ハスラー」が売れるワケ

2020年1月に2代目へとフルモデルチェンジしたスズキ「ハスラー」。昨今の軽スライドドア車の流れに乗らずとも売れている理由とはなんなのでしょうか。

むしろヒンジドアこそ必須、独自路線のハスラーの強みとは

 直近の軽自動車販売台数トップ5に位置するクルマは、ほとんどがスライドドアを採用しています。

 しかし、そのなかでヒンジドアでありながら人気を集めているのが、スズキ「ハスラー」です。なぜ、流行に乗らずとも好調な売れ行きを見せているのでしょうか。

SUV感マシマシになった2代目ハスラー! 独自路線が人気の要因?
SUV感マシマシになった2代目ハスラー! 独自路線が人気の要因?

 ハスラーは、初代モデルが2014年に発売されました。「アクティブなライフスタイルに似合う軽クロスオーバー」をコンセプトに開発され、トールワゴンとSUVの要素を兼ね備えた新しいジャンルを築き、アウトドアユーザーを中心に登場後すぐにヒットを記録します。

 ほかに類を見ないデザインも高い評価を獲得し、2014年には「グッドデザイン賞」を受賞したほか、「2014-2015年次RJCカーオブザイヤー」や、スズキ車として初となる「2014-2015年次日本自動車殿堂カーオブザイヤー」を受賞しました。

 その後、2020年1月に現行となる2代目が登場しています。同年1月から5月は軽自動車の販売台数ランキングでトップ10内をキープ。その後、6月は4位、7月は5位と、トップ5圏内にランクインしています。

 なお、直近7月のランキングでは、1位がホンダ「N-BOX」、2位がスズキ「スペーシア」、3位がダイハツ「タント」、4位がダイハツ「ムーヴ」ですが、上位3台はスライドドア、ムーヴでは「ムーヴキャンバス」にスライドドアが設定されています。

 しかし、ハスラーには派生モデルもなく、ヒンジドア仕様のみとなっています。近年の軽自動車において、売れるためにはスライドドアが必須という流れがあるなか、なぜハスラーはヒンジドアにも関わらず好調な売れ行きを記録しているのでしょうか。

 首都圏のスズキの販売店スタッフは以下のように話します。

「ハスラーは、先代モデルからデザインが人気のあるクルマですので、そのパッケージを継承していることや、元々スライドドアを搭載するように出来ていないために設定されていません。
 
 実際にハスラーを選ばれるお客さまにも、ヒンジドアだからこそハスラーを選ぶという人は多いです。

 また、スライドドアが人気な理由のひとつに、小さなお子さまが駐車場などで勢いよくドアを開けて隣のクルマを傷つけないため、といった要素があります。

 しかし、ハスラーは街乗りでファミリーユースというよりは、アウトドアで1人や2人が使うという場面が多いので、スライドドアは必須という訳ではありません」

 ハスラーはSUVの要素を持ったクルマです。それを好むユーザーも軽自動車での「SUVらしさ」を重視する傾向にあるため、デザイン的にはむしろヒンジドアで問題ないといえます。

 また、ほかの人気軽自動車とはユーザー層が区別されている点も大きいといいます。販売店のスタッフによれば、ほかのファミリー向け軽自動車とは明らかにユーザー層は異なり、20代から30代の独身者や夫婦が多いとのことです。

 スライドドアが人気を集めたのは、販売店スタッフの話す「小さな子どもを乗せても安心」といった要素のほか、乗り降りがしやすいことから「高齢者へ配慮された設計」という点も大きいです。

 また、2020年6月に発売されたダイハツ新型「タフト」は、月販目標を4000台に設定していたものの発売1か月後の受注台数はその4.5倍となる約1万8000台に達するほどの人気ぶりです。

 タフトもハスラーと同様にヒンジドアを採用する軽自動車で、パーソナルユースな前席重視かつアクティブなユーザー向けのモデルとして話題となりました。

 このように、ほかの人気軽自動車と異なる「ファミリーよりは1人、2人」、「街乗りよりはアウトドア」といった差別化によるターゲットの違いが、独自路線で安定した人気を獲得している要因といえます。

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