ガソスタで勧められる「水抜き剤」 いまの車に必要ナシ? それでも存在する理由
かつてはガソリンスタンドで給油する際、店員に勧められることの多かった「水抜き剤」ですが、燃料タンクの構造が変わっていくにつれ、水抜き剤の必要性は減っているといいます、それでも、ガソリンスタンドで水抜き剤を進める理由やいまでも販売されている背景とはなんなのでしょうか。
水抜き剤ってなに? 必要なの?
ガソリンスタンドで給油をした際に、スタッフから「水抜き剤」を勧められた経験がある人は多いのではないでしょうか。
しかし、時代が進むにつれてそういった機会も減ってきています。また、そもそも水抜き剤がどのような効果を持つのか知らないユーザーも増えているといいますが、水抜き剤とはどのような効果があるものなのでしょうか。
水抜き剤とは、燃料タンク内に溜まった水を除去するために使用するメンテナンス剤です。燃料タンクに給油する際、燃料と一緒に外からの空気がタンク内に入り、その空気中の微量の水分が気温低下時などに結露となり、タンク内に水が溜まります。
そのまま放っておくとタンクが錆びる原因になるため、この水を取り除くために水抜き剤は使用されます。
水抜き剤の原理は、タンク内に溜まった水と、水抜き剤の主成分であるイソプロピルアルコールが混ざり合い、水を強制的に燃焼させることができます。
燃焼された水分は水蒸気として排出されるため、これにより「水抜き」が完了します。ただし、間違った分量を入れるなどをしてしまうとエンジントラブルを起こす可能性があるため、自らのガソリンタンクの容量を調べ、 正しい容量、用法で使用すること を心がける必要があります。
では、どれくらいの頻度で水抜き剤を使用すると良いのでしょうか。カー用品店の店舗スタッフは以下のように話しています。
「必ず使用しなければいけないということはありません。何年もエンジンをかけずにクルマを放置しておかない限り、錆びる可能性は低いです。
むしろ、近年では燃料タンクが錆びつかない素材に変わっているということや、そもそもタンクの強度が高くなっていることにより、以前に比べると、必要性が下がっているといえるかもしれません。
また、店舗により異なるとは思いますが、水抜き剤の販売数は年々減少していると思います。ここ最近でも購入する人はほとんどいません」
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近年の燃料タンクはひと昔前までの「金属製」から、錆びづらい「樹脂製」へと素材が変わっています。
自動車部品メーカーによると、タンクを樹脂製にすることによって、錆びづらくなること以外に、軽量化や高い形状自由度を活かして車内スペースを広くすることが可能になったとしています。
では、最近のクルマでは必要性が低くなったにも関わらず、フルサービスのガソリンスタンドで「水抜き剤入れますか」と声を掛ける意味はなんなのでしょうか。
都内のガソリンスタンドで働いているスタッフは次のように話します。
「5年ほど前までは、給油されるお客さまに必ず『水抜き剤』を勧めていました。
これは、サービスの一環というよりは、その販売店の売上を上げるのが主な目的です。ガソリンスタンドは、給油だけでは利益が少ないため、車検やタイヤ・オイル交換、消耗品の販売促進が必要なのです。
しかし、タンクの性能向上やお客さんの『水抜き剤は重要ではない』という印象が広まったことで、給油時に勧めることが店舗のマイナスイメージに繋がることから現在ではお声掛けをしていません」
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