トヨタ「2000GT」の部品が再生産された!? メーカーによる旧車生活サポート3選
近年、1980年代から1990年代のクルマが人気となっています。なかでもスポーティな日本車は世界的にも人気が高く、中古車価格の高騰が続いていますが、純正パーツの入手性が困難な状況です。そこで、各メーカーがおこなっている旧車のサポートについて、3つの事例を紹介します。
旧車の維持に欠かせないパーツのサポート状況とは
ここ数年、1980年代から1990年代に生産された中古車の価格が異常なほど高騰しています。これは世界的な傾向ですが、なかでもスポーティな日本車がとくに高騰している状況です。
価格高騰の理由のひとつにアメリカでの需要があり、生産から25年を経た車両についてはクラシックカーとして、安全基準や排出ガス規制が緩和され、輸入が可能となる背景があるためです。
一方、日本でも昭和から平成のクルマは「旧車」や「ネオクラシック」と呼ばれて人気がありますが、維持するうえで問題となるのが、パーツの入手性です。
生産を終えたクルマは、しばらくすると消耗品以外の部品の生産も終了となるため、トラブルが出ると維持が困難になるケースも起こります。
そうした状況を打開するために、各メーカーが旧型車用部品の再生産を開始しました。そこで、部品の復刻やレストアサービスの事例を3つ、ピックアップして紹介します。
●日産「NISMOヘリテージパーツ」
1989年に発売された「R32型 スカイラインGT-R」は、現在も中古車価格が高騰していますが、前述したアメリカの25年ルールによる影響といわれています。
それに引きずられるように、後継モデルの「R33型/R34型 スカイラインGT-R」も価格が高騰。程度によっては新車価格を上まわり、1000万円オーバーも珍しくない状況です。
また、国内の愛好家も多く、新車から乗り続けているユーザーも数多く存在しています。
そうした背景から、2017年に日産、ニスモ、オーテックジャパンの3社が共同で、まずはR32型 スカイラインGT-Rの部品の再生産を開始。
その後2018年にはR33型、R34型にも拡大し、部品の再生産と販売を始めました。
当初はワイヤーハーネス、ホース/チューブ、エンブレム、外装部品など、約80点の部品からでしたが、バンパーやエンブレムなどの外装部品は新品が早期に入手不可となっていたため、オーナーには吉報となったことでしょう。
ほかにも一部の部品は再生産だけでなく、リビルト品の販売や、図面をもとに新規で生産される部品もあります。
ショックアブソーバーやマフラーなどは、アフターマーケットの部品でも替えがききますが、そうではない部品や、とくにゴムや樹脂パーツは個人での手配が非常に困難なため、旧車の維持に大きく貢献たといえます。
なお、現在再販中の部品はシリーズ全種で述べ270点ほどにもなっており、再生産品では対応できない一部の部品は、修理での対応もおこなわれています。
●マツダ「NAロードスターレストアサービス」
1989年には発売されたユーノス「ロードスター」は、消えかけていたオープンライトウェイトスポーツカーの灯を再燃させた偉大なクルマです。
初代ロードスターの登場は世界中の自動車メーカーに影響を与え、同様のコンセプトを持った2シーターオープンカーが次々と発売されました。
この初代ロードスターは1998年に生産を終了していますが、マツダは2017年に「NAロードスターレストアサービス」を開始。
この取り組みは2015年から具体的な検討が始まり、初代ロードスターの現存数が多いことや、長く愛用しているユーザーが多かったことから実現されました。
初代ロードスターに限定していますが、レストア(再生)サービスだけでなく、ハンドルやシフトノブ、フロアマット、ソフトトップ、そのほか補修用部品を復刻しての販売もしています。
さらに、マツダはブリヂストンと共同で、初代ロードスター発売当時の純正タイヤ「SF-325」を復刻して販売するなど、これまでにない取り組みも始めました。
なお、レストアにかかる費用(消費税込)は、基本メニューが254万7000円から、基本メニューとすべてのオプションメニューを反映したフルレストアが、494万2000円からとかなり高額ですが、フルレストアではボディからパワートレイン、内装までが、ほぼ新車レベルまで蘇ります。