三菱が生んだ、万人が扱える怪物マシン!? 「ランエボVII」は旧型からどう進化した?
WRC(世界ラリー選手権)での勝利を目指し誕生した三菱「ランサーエボリューション(ランエボ)」。いつからか三菱のイメージリーダー的役割をも果たすようになったハイパワー4WDセダンは、長きにわたり羨望の眼差しを向けられる存在でした。度重なるモデルチェンジで進化を続けてきましたが、今回は第3世代の最初のモデル「ランサーエボリューションVII」を紹介します。
ベース車両の変更でデザインの印象が大きく変わった「ランエボVII」
強力なターボエンジンとコンパクトなボディを組み合わせ、WRC(世界ラリー選手権)で活躍するために誕生した三菱「ランサーエボリューション」。1992年の初代から2016年の10代目まで生産され、その世代ごとに独自の魅力と圧倒的なパワーで、いまだに多くのファンを魅了する、ピュアスポーツ4WDセダンです。
今回は、第1世代から第4世代までの歴史のなかで、第3世代目の最初のモデルとして登場した「ランサーエボリューションVII」(以下、ランエボVII)について紹介します。
2000年前後、三菱は車種統合をおこないラインナップの整理をはじめました。ベースとなる「ランサー」も然りで、「ミラージュセダン」と統合される形でフルモデルチェンジされ、新たに「ランサーセディア」へとバトンタッチされました。
これを受けて「ランエボ」は新たなる段階へ移ります。
ベース車のフルモデルチェンジから1年後の2001年、ランサーセディアをベースに開発された、ランエボとして第3世代となるランエボVIIが登場します。
ベースとなったランサーセディアが従来モデルより大型化されたことを受け、ランエボVIIも全長4455mm×全幅1770mm×全高1450mmへとサイズアップ。
ホイールベースは115mm延長され2625mmに、トレッドも前後とも拡大し1515mmとなりました。あわせてタイヤも235/45R17サイズが装着されています。
従来モデルに装着されていた派手なエアロパーツやオーバーフェンダーは影を潜め、すっきりとしたデザインに変更されたランエボVII。
一部では「大人しくなった」と不評を買うこともありましたが、中身はボディフレーム結合部やサスペンション取り付け部などの補強により、従来より曲げ剛性が50%向上した強固なボディへと進化しました。
また第2世代にも搭載されていた「AYC(アクティブヨーコントロール)」だけでなく、電子制御油圧式多板クラッチを採用した新開発の「ACD(アクティブセンターデフ)」を搭載。
コーナーを抜け加速するタイミングで「ACD」が駆動力を、「AYC」が旋回力を高め、総合的に優れた加速性能とハンドリング性能を実現しています。
パワートレインは、初代から受け継がれる2リッター直列4気筒ターボの4G63型エンジンを熟成させて搭載しています。
ターボチャージャーの改良やインタークーラーの大型化、マグネシウム製ロッカーカバー、中空カムシャフトやステンレス製エキゾーストの採用などで、最高出力こそ従来同様の280馬力(自主規制枠)ながら、383Nmもの高トルクを発生させるまでに進化しています。
なお、これまでランエボの主戦場であったWRCでは、トップカテゴリーが従来の「グループA」から「WRカー(より広い範囲で改造が認められるクラス)」へ移行します。
このとき、三菱のWRカーのベース車両にランエボ自体ではなくランサーセディアが選ばれたことから、ランエボVIIは活躍の場をWRCの「グループN」(グループAの下位カテゴリー)や、国内・地方選手権のラリー、そしてサーキットへとシフトしていくことになります。
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