とにかくオープンで走るしかない!? ストイックすぎるオープンカー3選
梅雨が明けると夏本番ですが、夏というとオープンカーが似合う季節というイメージがあります。しかし、実際は夏のオープンドライブは苦行かもしれません。そこで、暑くても屋根が閉じられないような、ストイックなオープンカーを3車種ピックアップして紹介します。
まさに修行のようなオープンカーを振り返る
梅雨が明けると夏本番となり、強い日差しが戻ってきます。そして、夏に似合うクルマというと、オープンカーが挙げられるのではないでしょうか。
海沿いの道や高原のワインディングロードをオープンカーで走るのは気持ちよさそうです。しかし実際は、日本の夏にオープンカーでのドライブは、かなりの苦行といわざるを得ません。
近年のオープンカーは、風の巻き込みを上手にコントロールし、空調の性能向上やシートエアコンを装備しているモデルもあるため、昔にくらべて快適になっていますが、それでも炎天下では身の危険を感じるほどです。
そこで、暑くても屋根が閉じられないような、ストイックなオープンカーを3車種ピックアップして紹介します。
●スマート「クロスブレード」
1998年に、ダイムラーとスイスの時計メーカーであるスウォッチ協業した「スマート」ブランドから、2人乗りのマイクロカー「シティークーペ」(日本では「スマート」)が発売されました。
全長わずか2500mmながら強固なモノコックシャシを採用したことで、車格が倍もあるような大型セダンと衝突しても、乗員を保護することができると高い安全性をアピールし、欧州ではシティコミューターとして大ヒットします。
そして、2001年には、オープンカーの「スマートカブリオ」をベースに作られた「クロスブレード」が登場。
もともとクロスブレードはコンセプトカーとしてつくられましたが、その斬新なデザインが好評だったため、限定車として発売されました。
ボディには屋根はおろかフロントウインドウも無く、ドアはバータイプのものが装着されるのみです。
内装はある程度防水処理がされており、駐車中に内装を保護するトノカバーはありましたが、走行中に雨が降っても乗員は濡れるしかありません。
エンジンはベース車と同じ600cc直列3気筒ターボを搭載していますが、最高出力を70馬力にチューンナップされ、外観には専用デザインのバンパーやフェンダー、ホイールなどが装着されています。
日本では2002年に25台が限定販売されて完売。さらに2003年に34台が追加で限定販売されました。
クロスブレードは走っているだけでかなり目立つクルマだったため、興味本位で買ってみたもののすぐに売ってしまったユーザーも多く、一時期は程度の良い中古車が散見されたほどですが、現在はほとんど流通していません。
●ルノー「スポールスピダー」
1996年に発売されたルノー「スポールスピダー」は、公道を走ることができるレーシングカーとしてデビュー。
もともとスポールスピダーはワンメイクレース用車両として開発されたモデルで、公道でも走行できるように最低限の装備を追加しただけです。
クーラーはおろかヒーターやパワーステアリングなど、快適装備は一切無く、普段使いはまったく考えられていません。
さらにボディはフォーミュラーカーのようにオープンの状態が基本で、簡易的な幌も無く、発売当初はフロントウインドウも無い状態でしたが、後にフロントウインドウが装備された仕様が追加されました。
リアミッドシップに搭載されたエンジンは、最高出力150馬力を発揮する2リッター直列4気筒と、スペック的には目をみはるものではありませんが、アルミ製スペースフレームとFRP製の外装により900kg台の車体には十分なパワーです。
また、低い全高による低重心化と、4輪ダブルウィッシュボーン・サスペンションにより、エンジンパワーよりもコーナリングスピードを重視した、まさにレーシングカーそのものといったところです。
スポールスピダーの製造はルノーのレース部門である「ルノースポール」が担当し、日本にも100台ほどが正規輸入されいるので、いまも中古車として流通しています。