ナニコレ珍3車発見! マツダ「RX-3」顔の「RX-7」とは
「サバンナRX-3」フェイスの「RX-7」とはいかに?
ここ10年ほどのグッドウッドFoSでは、日本発祥のドリフト競技で活躍するドライバーとマシンたちが大人気を博しているとのこと。筆者が訪ねた2018年のヒルクライムでも、ドリフト軍団の「真打ち」的なポジションで登場したのが、このモンスターマシンだった。
●マッドブル「RX-7 Gen7.3」
サイドとリアから見るとアンフィニ/マツダ「RX-7(FD3S系)」なのだが、フロントマスクは「サバンナ」、しかも初代にあたる「RX-3」風に仕立てられていることに目を瞠(みは)らされてしまった。
ドリフトの世界にはまるで疎い筆者は、この異様な風体にただただ驚かされるばかりだったのだが、帰国したのちに調べてみると、ニュージーランド出身の世界的ドリフトスター「マッド・マイク」ことマイク・ウィデット選手が、日本国内のスペシャリストともに作り上げた「マッドブルRX-7 Gen7.3」というマシンであることが判明したのだ。
マッド・マイクはかつて、自身にとって初となる国際イベント参戦用のドリフトマシンとして、1992年式FD3Sをベースとする「FURSTY」を製作。10年以上にわたって彼のパートナーとなってきた。
FURSTYはのちに4ローター仕様の「RX-7マッドブル」へと進化し、マイクに2009年シーズンの「フォーミュラドリフト・アジア」のタイトルをもたらしたという。
そして2017年に「マッドブル」はさらなる進化を遂げる。マイクがもっとも好きなクルマであるというマツダRX-3そっくりに仕立てたフェイスを、マッドブルのFD3S型RX-7ボディに組み合わせているため「Gen.7.3」と呼ばれることになったのだ。
歴代のマッドブルと同様、カスタムメイドの自然吸気4ローター26Bエンジンが搭載されたこのマシンの目的は、マツダのレースヒストリーに燦然と輝くRX-3の活躍を再現するマシンを作ることだったといわれている。
長らくマッド・マイクを支援してきた「レッドブル」のカラーリングに彩られた「マッドブルRX-7 Gen.7.3」。世界が注視するグッドウッドFoSにおける雄姿は、その目的を充分に果たしているかに見えたのだ。
●フィアット「S.76」
異様なほどに嵩の高いボディに、火を噴くエキゾーストパイプ。第二次世界大戦前のレーシングカーたちがひしめくグッドウッドでも、ひときわ目立つ存在だったのが、フィアット「S.76」あるいは「300HP RECORD」、時には「La Belva di Torino(トリノの野獣)」とも呼ばれるレーシングカー兼スピード記録チャレンジマシンである。
1899年の創業から約10年を経て、イタリア最大の自動車会社となっていたフィアットは、創成期のモータースポーツにも目を向け、14リッターの「S74」グランプリカーは、ヨーロッパとアメリカ双方のレースで輝かしい成果を示していた。
しかし、ジョヴァンニ・アニエッリを筆頭とするフィアット首脳陣はそれだけに飽き足らず、次なるチャレンジである世界スピード記録の分野にて、ドイツの「ブリッツェン・ベンツ」が1909年に達成した202.691km/hというスピードを超えることを目指した。
そして当時の人気ドライバー、フェリーチェ・ナザーロと発足間もないレース部門に開発を委ねた結果として1910年に誕生したのが、S.76だったのだ。
ブリッツェン・ベンツが2万1504cc/200psの4気筒エンジンを搭載していたのに対して、フィアットS.76も航空機由来となる2万8354cc、すなわち、実に28リッターという巨大な直列4気筒SOHCエンジンを搭載する。
そのパワーは、110年前の技術水準では異次元とも感じられたに違いない、290-300psに到達したといわれている。
第一次世界大戦などの事情により、公式なスピード記録の達成には至らないまま長らく放置されていたとされるこのモンスター。今世紀に入ってイギリスの愛好家によって修復されたのちにも、その悪魔的な魅力と存在感は健在であった。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。