ナニコレ珍3車発見! マツダ「RX-3」顔の「RX-7」とは

世界最大級の自動車の祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)」に登場した、異形のモンスターマシンを3車種を紹介。

トヨタ「iQ」ベースの「シグネット」にV8エンジンを搭載!

 英国ウェストサセックス州チチェスター近郊グッドウッドにて開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)」は、世界最大級の自動車のお祭りである。

 2020年は、新型コロナ禍のため1年休止、秋に無観客の代替えオンラインイベントが開催される事態となってしまったが、本来は毎年7月に、その素晴らしさをもっとも端的に示しているのは、メインイベントの「ヒルクライム」といえるだろう。

サイドとリアから見るとアンフィニ/マツダ「RX-7(FD3S系)」だが、フロントマスクは「RX-3」風に仕立てられたマッドブル「RX-7 Gen7.3」
サイドとリアから見るとアンフィニ/マツダ「RX-7(FD3S系)」だが、フロントマスクは「RX-3」風に仕立てられたマッドブル「RX-7 Gen7.3」

 1万2000エーカーという、我々日本人にはいささかピンと来ないほどに広大なイベント会場のなかでも中核を成すステージ、「グッドウッドハウス」と呼ばれる古城周辺の庭園や牧草地を抜ける私道に設定されたコースを駆け抜けるヒルクライムでは、作られた年代や生産国、あるいは2輪/4輪を問わず、最上級のクラシックモデルや当代最新のスーパーカーたちが持ち前のパフォーマンスを披露する。

 もしも将来、自動車が世界遺産の対象になる日が来たならば、選出されても然るべきレベルのクルマたちが続々と走るさまは、まさしく圧巻である。

 しかしその一方で、誰もが認める名車ではないものの、個性が際立つ新旧の「キョーレツ」ないしは「キテレツ」なクルマたちが大挙して登場するのも、グッドウッドFoSヒルクライムの大きな特徴といえるだろう。

 今回は、2018年のグッドウッドFoSにおいて強烈な存在感を放った3台をセレクト。それぞれの時代における常識に挑戦したかのような個性派たちの雄姿から、「自動車のお祭り」気分をホンの少しでも味わっていただければ幸甚である。

●アストンマーティン「V8シグネット」

「ヴァンテージS」の4.7リッターV8自然吸気エンジンを縦置きに搭載したアストンマーティン「V8シグネット」
「ヴァンテージS」の4.7リッターV8自然吸気エンジンを縦置きに搭載したアストンマーティン「V8シグネット」

 2018年のグッドウッドFoSがワールドプレミアの舞台となった「アストンマーティンV8シグネット」は、顧客からのリクエストに応じて、アストンマーティン社のビスポーク部門「Q by アストンマーティン」がワンオフ製作した、正真正銘のモンスターである。

 もともとトヨタ「iQ」をベースとするシグネットのボディシェルを流用し、先代「ヴァンテージ」系からダブルウィッシュボーンサスペンションを含めたフロントとリアのサブフレームを移植。

 オリジナルでフロントに横置きされる1.3リッター直列4気筒エンジンの代わりに、「ヴァンテージS」の4.7リッターV8自然吸気エンジンが縦置きに搭載されている。

 標準型シグネットの最高出力が98psなのに対して、こちらは最高出力430ps/最大トルク50kgmという、まさに怪物の称号に相応しいパワーを発揮するのだ。

 駆動方式も、トヨタiQおよびシグネット由来のFFからFRに変更。トルクチューブを介して、シングルクラッチ式シーケンシャルMT「スピードシフト」とディファレンシャルをリアに搭載する。

 また大幅に拡幅されたトレッドや、ヴァンテージから流用される大径ホイール/タイヤを収めるために、前後のフェンダーはカーボンファイバー製の専用品が組み合わされている。

 一方インテリアについても、バケットシートやロールバー、FIA規格の消火システム、先代ヴァンテージの計器盤を組み込んだ、専用のカーボンファイバー製ダッシュパネルが内装に奢られるなど、スタンダードのシグネットを大幅に凌駕するスポーティな空間が演出されている。

 V8ヴァンテージよりも250kgも軽量に仕立てられた、このV8シグネットの0-60mph(約97km/h)加速タイムは4.2秒、最高速度も274km/hとスーパーカーとしても一人前。

 グッドウッドの森に自然吸気のV8サウンドを高らかに轟かせ、素晴らしいスピードで快走するさまは、異様というよりもただただカッコ良かったのである。

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