世界最速FFの称号をかけた大戦争 シビックタイプRとメガーヌRSの闘いの歴史とは

FFモデルのニュル北コースのタイムはこの10年で約30秒も速くなっている

 さらに、その最速を競う場に乱入したモデルがある。それがシビックタイプR(先代モデル)だ。

ホンダ「シビックタイプR リミテッド エディション」での鈴鹿タイムアタックの様子
ホンダ「シビックタイプR リミテッド エディション」での鈴鹿タイムアタックの様子

 2015年3月のデビュー時に、7分50秒63という最速タイムを記録したことがあわせて発表された。

 この先代シビックタイプRの記録を破ったのは、また違ったライバルであった。それがフォルクスワーゲン「ゴルフGTIクラブスポーツS」だ。2016年4月に7分49秒21で記録を更新。さらに12月には7分47秒19にまで自己の記録を伸ばす。

 しかし、その新記録もわずか半年後に更新された。それが2017年4月の新型(現行型)のシビックタイプRの7分43秒80というタイムだ。結局のところ、2014年から2017年にかけては、毎年のようにラップタイムが更新されることとなったのだ。

 そして2019年7月に、また新たな記録が生まれる。それが現行型となった新型メガーヌR.S.トロフィーRの7分40秒10というもの。これが現在のニュルブルクリンク北コースのFF最速記録となっている。

 ちなみに、2019年シーズンよりニュルブルクリンクによる公式タイムも記録・公開されるようになった。そこの記録によるコンパクトカー・クラスの最速は、メガーヌR.S.トロフィーRの7分45秒39(2019年4月)の記録だ。ルノーは、4月の公式記録達成の後、7月にさらに記録を更新したというわけだ。

 ただし、鈴鹿でシビック・タイプRが記録を更新したように、7分40秒10というタイムもいつかは破られることだろう。

 次なる挑戦者は誰なのか? マイナーチェンジをおこなったシビックタイプRなのか。それともゴルフ8GTIやセアト・レオンなどが復権するのか。また、新しい王者が生まれる可能性もある。

 FF最速の座をかけたタイムアタックは、これからも目が離すことはできない。

 もちろんスポーツカーの魅力は、ラップタイムがすべてではない。しかし、その速さの指針のひとつであることは確実だ。

 しかし、2008年の8分16秒9から、10年ほどでおよそ30秒も速くなっている。それが現在のFFスポーツカーの進化であることは間違いない。

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