緊急事態宣言解除後に交通違反の取り締まり強化!? 移動式オービス増加の実態とは
コロナ禍で「大幅な速度超過」の交通違反が増加する訳
緊急事態宣言中は交通量が少なくなり、交通違反の取り締まり件数も減ったといわれていますが、実際のところ宣言中と宣言後で何か違いがあるのでしょうか。

前出のT巡査は次のようにいいます。
「個人的な意見としてですが、緊急事態宣言中はクルマが少なく、検挙数も少なめだったように思います。ただし、道が空いているため速度が出しすぎてしまうのか、スピード超過の違反が多かった印象です。
なかでも、制限速度を30km/h以上オーバーする速度超過違反が多かった気がします。また、大幅な速度超過が原因となった大きな事故も多く、皆さんにはくれぐれも安全運転を心がけていただければと思います」
4月の事故件数は約36%、5月は約40%も減ったにも関わらず、死亡事故の件数はそれぞれ約19%、約8%しか減っていません。つまり、事故の数に対しての死亡事故の割合はむしろ増えているということになり、T巡査の「大きな事故が増えた」という言葉は数字でも証明されています。
「また意外に多かったのが、追い越し車線をずっと走り続ける『通行帯違反』です。道路が空いていたのでそのまま走行してしまった、というドライバーの方が多かったのですが、あくまで1番右側の車線は追い越しのための車線ですので、やはり普段は走行車線を走行していただきたいです」(T巡査)
また、緊急事態宣言解除後は、交通量はほぼ以前と同じ水準にまで戻りつつあるそうです。
「徐々に交通量は増えており、いまではほぼ元通りになった印象を受けます。速度超過の違反件数も以前に戻った印象です」(T巡査)
スピード違反で捕まった場合、超過した速度の確認や書類へのサインのためにパトカーの車内に入るよう促されることがありますが、マスクをしているとはいえ警官2人と密な空間に入ることになります。
コロナ禍において、そうした行為を嫌がる違反者はいなかったのでしょうか。
「自分が担当したなかでは、そのような感染防止を理由に断られたケースはありませんでした。我々も感染防止のためマスクも常時着用しておりますし、窓を開けて換気も意識しております。ほかにも感染で揉めたとは聞いておりません」(T巡査)
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もともと2020年の東京オリンピックに向けて、歩行者優先が定着している諸外国からの訪日外国人観光客の増加が見込まれることから、信号機のない横断歩道における歩行者優先などについての啓発や、違反者に対する指導の強化が図られていました。
オリンピックが延期となったいまでは、新しい生活様式として電車ではなくクルマでの通勤が見直されていることなども鑑みると、今後は以前より日常の交通量が増える可能性があります。
交通量が増えれば事故も起きやすくなることから、クルマを運転する人が安全運転を心がけるだけでなく、軽微な違反も注意する慎重な運転が求められているといえそうです。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。


















