意図せずあおり運転が成立!? 法改正で「妨害運転罪」制定でも 何がどう変わるのか
改正後の「あおり運転」は、無意識のうちに妨害運転とみなされることもある?
2020年6月30日に施行されるあおり運転の定義10項目のなかに、非常に曖昧なものがあります。それは、「車間距離を詰める」という項目です。
車間距離だけが曖昧とされる理由には、具体的な数字が明記されていないことがあげられます。どの程度車間距離を取るべきなのか判断できないため、知らぬ間に妨害運転罪として摘発される可能性も考えられるでしょう。
JAFによると、追突を防ぐためには、ブレーキが効くまでにクルマが走る「空走距離」、ブレーキが効き始めてから停車するまでの「制御距離」など、全体の停止距離に考慮する必要があるとしています。
「空走距離」は、ドライバーの体調や注意力に影響、「制御距離」は速度の2乗に比例して長くなるほか、クルマの重量、ブレーキ性能、タイヤの種類や状態、路面状況によっても変化します。
例えば、路面が濡れてタイヤがすり減っているという状況では、通常の状態に比べて停止距離は2倍以上に伸びます。
車両状況やドライバーの健康状況、道路状況といったさまざまな状況によってブレーキを踏んだときの制動距離に差が出るため、意図的にあおり運転をおこなっているつもりがなくても「車間距離を詰める」行為として摘発される恐れがあるのです。

では、車間距離を確保するためには、どうすればいいのでしょうか。
警視庁では、車間距離を保持するために、「距離」ではなく「時間」を意識したうえで、2秒間を目安にすることを呼びかけています。
運転席の高さにより、前方を走るクルマとの間隔を正確に判断することが難しいため、時間に焦点が置かれました。
埼玉県では、「0102運動(ゼロイチゼロニ運動)」と称してゆとりのある車間距離を提唱しています。
これは、前走車が目印を通過した瞬間を「0(ゼロ)」として、自分のクルマが同じ目印を通過するまでに「2秒以上」数えることができれば、車間距離が2秒以上あることになります。
しかし、「1、2(イチ、ニ)」と数えた場合、実際の2秒間より短いことがあるため、数えるときは「0、1、0、2(ゼロ、イチ、ゼロ、ニ)」と数えることで、ゆとりのある車間を保つことが可能なのです。
妨害運転とみなされないためにも、気持ちに余裕を持ち、車間にゆとりがある0102運動を実践してみるのもいいかもしれません。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。












