トヨタ「カローラ」が13年ぶりの王者!? プリウスに勝る勢いが続く理由
かつてトヨタ「カローラ」は33年間連続で登録車販売台数No.1を記録していました。その後、ホンダ「フィット」と首位を争い、さらには後発として登場したトヨタ「プリウス」や「アクア」が首位争いを繰り広げます。そして、2020年はカローラが王者奪還に迫る勢いで販売台数を伸ばしているのです。その勢いの要因とはなんなのでしょうか。
カローラ王者奪還なるか?
2019年9月にフルモデルチェンジしたトヨタ「カローラ」が好調です。12代目へと進化したカローラは、どのようなクルマなのでしょうか。
フルモデルチェンジ前となる2019年1月から8月までのカローラの販売台数は6万2279台で、月平均とすると7785台でした。この台数には、セダンの「カローラアクシオ」やステーションワゴンの「カローラフィールダー」のほか、先行して2018年に発売された5ドアハッチバックの「カローラスポーツ」も含みます。
対してフルモデルチェンジ後は9月に1万1046台と好スタート切り、10月に1万1190台、11月に1万705台と健闘が続きます。12月は9186台とやや台数を落としますが10月から12月までは続けて乗用車販売ランキング(軽自動車を除く。以下同)の1位を獲得しました。
2020年1月と2月はトヨタ「ライズ」に1位を奪われ、2月は日産「ノート」にも15台という僅差で2位の座も譲ってしまいましたが、3月にはデビュー直後に2位となったホンダ「フィット」に約1500台の大差をつけて1位を奪回。
2019年4月から2020年3月までの2019年度でカローラは、乗用車販売ランキングのトップに輝きました。販売台数は11万4358台で前年度比121.1%です。はたして、カローラの人気が復活した理由はどこにあるのでしょうか。
ただ、カローラの状況を認識するうえで押さえておきたいのは、新型登場以前もカローラは決して不人気車ではなかったということです。
1969年から2001年のように33年連続で販売台数1位というレベルではありませんが、先代に相当する11代目のカローラも、ハイブリッドが登場した2013年以降は5位、4位、4位、7位、12位、そして2018年の8位とランキングではそれなりのポジションにつけていました。
多くの年は「あともう少しでトップを狙える」という状況にいたのです。つまり、ちょっとした変化が、カローラを販売トップへと導いたといえるでしょう。
そのちょっとした変化のひとつが、若いユーザーの獲得。新型は年齢層が低めのユーザーの目にも留まったのです。
といってもここでいう「年齢層が低め」とは20代や30代前半のことを指しているのではありません。従来のカローラユーザーの平均年齢はセダンが60代から70代、「若い」といわれるワゴンでも40代でした。
しかし、若々しいデザインになった新型カローラは、それらの層に加えてもっと年齢の低い新規ユーザーも獲得できたことが販売台数増につながったのです。
新型のデビューにあたり、開発スタッフは「若い人たちにも乗っていただけるカローラを目指した」といいます。すなわち若いユーザーの獲得はトヨタの狙い通りといえるでしょう。
もうひとつは「プリウスでなくてもいい」というユーザーの増加です。ここ10年、販売台数においてカローラよりも上にいる乗用車は「プリウス」と「アクア」でした。どちらもトヨタのハイブリッド専用車です。
そして新型カローラはプラットフォームやパワートレインの基本設計をプリウスと共用。つまり、新型カローラは「プリウスの兄弟となるセダンとワゴン」ともいい換えることができます。
実は日本におけるカローラの売り上げの約7割はセダンではなくワゴンですが、ハイブリッドかつ車格的にも同等でプリウスよりも実用的なクルマを求めるユーザーがワゴンボディの「カローラツーリング」を選んでいるという声も販売現場から聞こえてきます(先代はプリウスよりも車格が下だったのでこのパターンが当てはまらなかった)。
ハイブリッドカーラインナップの拡大により「ハイブリッドカーならプリウスを選ぶ必要がある」から、「ほかにもっと魅力的なハイブリッドカーがあるからプリウスじゃなくてもいい」という方向に時代が動いているといっていいでしょう。
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