新型コロナの影響でミュルザンヌが延命! 至高のセダンはかくして作られる

ベントレー「ミュルザンヌ」は、2020年4月に生産終了の予定だったが、新型コロナ・ウイルスの影響でクルーの工場が一時閉鎖されることになり、生産期間が延長されることになった。ミュルザンヌを生み出してきたスタッフたちはいま、生産終了間近のミュルザンヌに対してどのような想いを抱いているのだろうか。

ミュルザンヌを生み出してきた8名のスペシャリストたち

 2020年4月に生産を終了する予定だったベントレー「ミュルザンヌ」が、新型コロナの影響でクルーの工場が閉鎖された影響で、生産期間の延長が決定した。

 ここでは、ミュルザンヌのフィナーレをセレブレートする前に、ミュルザンヌがいかにしてクルーで生み出されているのかを、8名のスペシャリストにスポットライトを当てて、探ってみよう。

新型コロナウイルスの影響で、現在クルーの生産ラインはストップ。そのため、ミュルザンヌは2020年4月の生産終了を延期せざる得なくなった
新型コロナウイルスの影響で、現在クルーの生産ラインはストップ。そのため、ミュルザンヌは2020年4月の生産終了を延期せざる得なくなった

 ミュルザンヌは、手描きスケッチから最終的な生産終了まで、設計、製造、開発がおこなわれたクルーにおいてすべて手作りされている。

 ミュルザンヌは1台1台、実に400時間以上をかけて作られる。極めて優れたスキルや細部へのこだわりが必要とされる「ミュルザンヌ メーカーズ」と呼ばれる製造に携わる人たちの手を経て、これまで7300台以上のミュルザンヌが生み出されてきた。

 このミュルザンヌ メーカーズのなかから、各部門別に8名のスペシャリストを選出し、現場からのリアルな声をお届けしよう。

●01:クリスピン・マーシュフィールド/デザイン担当

 クリスピンは、ミュルザンヌが自分のモノだと主張しても何らおかしくはない。彼は、ベントレーのエクステリア・デザイン・チームの一員として、今では誰もが紛れもないミュルザンヌの姿として認識しているエクステリアのデザインを担当。

 クリスピンは、現在もベントレーの未来のモデルのデザインに携わっており、フリーハンドのスケッチから金属のスーパーフォーミング加工までのデザインを担当している。

「ミュルザンヌのエクステリア・デザインには、プロジェクト立ち上げ時から携わっています。最初の構想段階から実物大クレイモデルの開発、そして最終的な生産開発にまで携わりました。

 私にとってミュルザンヌは、常に私がもっとも誇りに思うプロジェクトのひとつです。時が経つにつれ、ミュルザンヌは現代を象徴する存在として認識されるようになりました。

 このモデルは独自の後輪駆動プラットフォームを基に作られたベントレーであり、6.75リッターV8エンジンを搭載する最後のモデルでもあります。このエンジンについては、何世代にもわたるクラシック ベントレーの系譜を辿ることができます。まさにひとつの時代の終焉と言ってもいいでしょう」

●02:ピーター・ゲスト/エンジニアリング担当

 ピーター・ゲストはミュルザンヌ・プロジェクトのボディ&トリム部門の責任者であり、ボディ構造全体およびキャビン全体の技術開発を担当。

 ミュルザンヌを完成させた後、ピーターはベンテイガのプロダクト・ライン・ディレクターに就任し、プロジェクトの初期の構想段階から納入までを担当した後、コンチネンタルGTや、最近ではフライングスパーでも同じ役割を担っている。

「ミュルザンヌは、そのエンジニアリングにおいて極めて野心的で、ボディ構造、電気系統、内外装のデザインを一新し、シャシやエンジンの設計も大幅に見直されました。膨大な量の作業を社内の約600人のエンジニアで構成されるチームで受け持ち、最終的にここクルーで製造を担当することになるこれらのチームメンバーたちと協力して作業を進めました。

 例えば、ボディのDピラーには手作業でろう付けをする大きな接続部がありますが、これは『無垢材から削り出した』ような外観を実現するための最良の方法でした。

 インテリアはまったく新しい、極めて複雑なものになりました。数百片ものレザートリムと、キャビンを囲むよう完璧に配置された『リング・オブ・ウッド(木の輪)』が特徴です。繰り返しになりますが、私たちは工場で職人たちと協力して、私たちが設計したものを確実に生産できるようにしなければなりませんでした。それは大きな課題ではありましたが、私たちはそれを実現しました。そして、ミュルザンヌの外観は、今でも目を見張るほどだと思います。

 工場から出荷されるミュルザンヌを見るたびに、私は大きな誇りを感じます。このクルマは発売当時、『グランド ベントレー』と呼ばれていました。そして今、ミュルザンヌは、最新のグランド ベントレーである新型フライングスパーにその名前を引き継ぐことになりました。この2台の開発に携わり、息を吹き込んできた者として、フライングスパーがその名にふさわしい後継車であることは間違いありません」

●03:イアン・ジョンソン/ホワイトボディ担当

 イアンはベントレーのホワイトボディ部門で働く多くの職人のひとりであり、あらゆるバリエーションのミュルザンヌのボディを手作業で仕上げてきた。イアンは今後、ベントレーの製造部門のべンテイガの立ち上げチームで自身のスキルを発揮することになる。

「私はベントレーで8年以上、世界中のお客様のためにミュルザンヌのボディを製作してきました。その間、私は、様々な工具やヤスリを使い、伝統的な金属の仕上げや板金加工の技術を学び、発展させ、塗装部門へ運ばれる前にそれぞれのボディが極めて高い基準を満たしていることを確認してきました。

 長年にわたり、このブランドのフラッグシップモデルに携わってきた素晴らしいチームの一員だったことを、私は本当に誇りに思っています。これはひとつの時代の終わりを意味しますが、私は決して忘れることはないでしょう。これからもずっと、語り継いでいきたいと思っています。」

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