アルピーヌ「A110S」はアクセルワークひとつで自在に曲がる回頭性が魅力【試乗】
2019年11月21日に発表されたのが、よりダイナミックな走りとスタイリングを持つアルピーヌ「A110S」だ。「A110ピュア/リネージ」よりも最高出力が40馬力アップした292馬力/320Nmを発生する1.8リッター直4ターボを搭載。パワーウエイトレシオは4.3kg/馬力から3.8kg/馬力へと向上している。そんなA110Sの試乗会が筑波サーキットで開催された。
アルピーヌA110よりも40馬力アップ 足も固めたA110S
近代のライトウエイト2シータースポーツとしての地位を築いたアルピーヌ「A110」(ピュアとリネージの2グレード)に加え、スポーツ度をさらに高めた「A110S」(エイワンテンエス)が登場した。
さっそく筑波サーキットでA110ピュアとA110Sの比較試乗ができたので、そのインプレッションをお伝えしよう。
A110ピュアに対するA110Sの外観上の違いは、前後のALPINEのエンブレムはブラックになり、ブレンボ社製ブレーキキャリパーがオレンジ色に、ルーフがカーボンファイバー製に変わっているのですぐに見分けがつく。
よく見るとタイヤサイズも前後とも10mmずつ幅広くなり、フロントは215/40ZR18 89YXL、リアは245/40ZR18 97YXLになっている。
室内各部にあるステッチカラーもブルーからオレンジになり、シートやステアリングホイールの差し色としておしゃれな演出になっている。ヒップポイントの低いモノコックバケットシートはサベルト製で、重量は13.1kgと軽量だ。
シャシのセッテリングは大幅に変更されている。
フロントのスプリングレートは30N/mmから47N/mmへ、リアスプリングレートは60N/mmから90N/mmへとそれぞれ50%増しになっている。
中空化したスタビライザーはフロント17N/mmから25N/mmへ、リア10N/mmから15N/mmへと固め、アンチロール性能を上げている。ダンパーとバンプストッパーはハイドロリックコンプレッションストップ方式になった。つまり通常はゴムやウレタンを使うバンプストッパーを、液圧で止めるタイプにしている。
エンジンは1.8リッター4気筒直噴ターボに変わりはないが、252馬力から292馬力に最高出力がアップした。
最大トルクは320Nmで変わらないが、その発生回転域が高回転まで最大トルクを持続するようになった。A110ピュアの最大トルクは、2000rpmから5000rpmまでの幅で320Nmを発生するが、A110Sのエンジンでは同じ2000rpmから始まるものの6400rpmまで320Nmを持続するようにコンピュータプログラムを変えたのだ。
ターボのブースト圧は0.4bar高めている。単にトルクバンドが広がったというより、高回転域になってもトルクの落ち込みがないので、その分が出力アップにつながっている。出力は、トルク(Nm)×エンジン回転数(rpm)で得られるから、高回転まで太いトルクを発生できれば出力が上がるという計算である。
その結果、車両車重は1110kgでピュアと変わらないが、数字が小さいほど良いパワーウエイトレシオは4.3kg/馬力から3.8kg/馬力へと大幅に向上した。0-100km/h加速は4.4秒と0.1秒速くなり、0-400mは12.6秒、0-1000mは22.8秒、最高速度も10km/hアップして260km/hになった。
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