伸びるアンテナなぜ減少? 若年層では存在を知らない場合も

ひと昔前のクルマには、長く伸びたアンテナが装備され、手動や電動など伸縮方式には種類がありました。しかし、最近ではルーフ上に装着するタイプのイルカやサメのヒレのような形状のアンテナが主流となっています。なぜ、伸びるアンテナは減少しているのでしょうか。

国産車で最初期に登場したのは手動で引き伸ばすアンテナだった

 かつてのクルマには、手動や電動の伸縮式アンテナが備わっていました。しかし、最近ではフロントガラスなどに貼るものや、ルーフに取り付けるシャークアンテナ(ドルフィンアンテナ)と呼ばれるタイプがアンテナの主流です。なぜ、伸縮式のアンテナは姿を消したのでしょうか。

1980年代から1990年代の国産車では電動式アンテナの採用が相次いだ時期も
1980年代から1990年代の国産車では電動式アンテナの採用が相次いだ時期も

 国産車で、初めてラジオアンテナを搭載したのは、1955年に登場したトヨタの初代「トヨペットクラウン」といわれ、オプション装備の真空管式AMラジオでした。

 1970年代になると、電動で伸縮させるタイプのものが登場。1989年に登場したマツダ「ユーノス・ロードスター」にも装備され、それまでの手動式とは違い、ラジオやオーディオが起動すると、内蔵されているモーターで自動的にアンテナを伸縮させるタイプです。

 近年では、よりコンパクトな可倒式の黒いアンテナや、イルカやサメのヒレのような形状のアンテナが主流となっています。

 ラジオなどの電波を受信するアンテナは、長ければ感度が良くなるとされていますが、なぜ最近の車種では伸縮アンテナが採用されなくなっているのでしょうか。

 トヨタの販売店スタッフは、以下のように話します。

「伸縮タイプのアンテナは、高さ制限のある場所で破損する可能性があります。スーパーや百貨店にある地下駐車場や立体駐車場によっては、伸ばしたまま入るとアンテナを折ってしまうことも少なくありません。

 可倒式アンテナであれば、そういった狭い場所に入る前に、前か後ろに倒すことで対応できます。クルマ自体が立体駐車場に対応していない高さの場合もありますので、狭い場所に入る時は、高さ制限に注意した方が良いでしょう。

 また、ドルフィンアンテナの場合は、倒す必要がありませんので、そうしたメリットから装着されていると思われます。空力性能が良かったり、デザイン性が高いといった理由もあるようです」

 また、ラインナップの多くにシャークフィンアンテナを採用するマツダは次のように話します。

「一般的にカーラジオのアンテナに求められる要件は『小型・広帯域』の2点です。その両立に向け、技術進化に応じてアンテナも形状・機能共に進化しています。

 現在のマツダ乗用車にはシャークフィンタイプの採用が多いのですが、これはさまざまな周波数帯の電波に対する安定した電波受信性能を確保したうえで、従来のアンテナにありがちな洗車・駐車時の取り外しや折り畳みといったユーザーの手間を簡略化・小型化によるデザイン性の向上などを目的としています。

 また、受信感度に関しては、小型化と受信性能の確保を両立するように開発をおこなっていますので、一般的な使用においては、現在の小型アンテナでも受信感度に問題はないものと考えています。(トンネル内など電波そのものが届きにくい場所での使用は除きます)」

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 アンテナの長さが短いことによる受信状態の悪さは、「ブースター」と呼ばれる増幅器を装着することである程度は解決できるため、長さはそれほど重要ではなくなっているようです。

 ちなみに、伸縮タイプのアンテナは、スズキ「アルト」やトヨタ「サクシード」などの商用車ではいまでも採用されているクルマがありますが、ひと昔前と比べれば圧倒的に珍しい存在といえます。

 また、破損のしやすさやデザイン的に不評であるほかに、ラジオそのものを聴くドライバーが減ったという理由もあるようです。

 20代後半の男性ドライバーは以下のように話します。

「カーラジオは年に1、2回使う程度で、基本的にはCDかBluetoothで音楽などを聞いています。また、10代の知人で、カーラジオの存在さえ知らなかったという人もいました」

 おもに若い世代において、カーラジオそのものの需要さえなくなっていることも、長いアンテナが消え去っている大きな要因のようです。

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