ジープで粉雪体験! 「チェロキー」は大人の都会派SUVだった
もはや「トレイルホーク」を阻む道はない!
チェロキーは、ジープの新技術が最初に搭載されるベンチマーク的クルマであり、カスタマーに厳しくジャッジされるクルマでもあります。9速ATや2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンなど、常にジープ初となるテクノロジーを搭載してきたチェロキーを、北海道トマムの雪道で試してみました。
チェロキーは、路面状況によって走行モードを選ぶことができる「セレクテレインシステム」というトラクションコントロールシステムを搭載しています。「AUTO」「SNOW」「SPORT」「SAND/MUD」「ROCK(トレイルホークのみ)」のモードを、ダイヤルで切り替えることで、スロットルコントロールやトラクションコントロールなどの12種類の車両マネジメントを路面状況に最適になるよう連携させることができます。
欧州SUVに乗りなれている人ならば、トランスファーのレバーで操作するラングラーの4×4システムよりも、チェロキーのセレクテレインシステムの方が身近に感じることができるでしょう。
まずはセレクテレインシステムを「AUTO」のまま、一般道に出てみました。路面状況は、昨晩から降り続いている雪が根雪にうっすらと積もっている状態で、交差点のような場所では、圧雪アイスバーンの上に雪が積もっている状態です。
チェロキーの2リッター直列4気筒DOHCエンジンの最高出力は、272馬力/5250rpm、最大トルクは400Nm/3000rpmと、V6エンジン並みです。このエンジンをフロントに横置きにした前輪駆動ベースの4WDに9速ATが組み合わされます。
セレクテレインシステムを「AUTO」のままでも、なんら過不足なく走行できるのですが、幹線道路から外れた、ほとんどクルマの通りのないワインディングの道で、「AUTO」と「SNOW」を切り替えてその違いを試してみました。
必要に応じて後輪へトルクを配分する「AUTO」の場合、自分が狙っているコーナーでのラインと、実際の車両が描くラインとの間に、実際にはほんの数センチのずれなのですが、若干の振れ幅を感じてしまいます。
たとえるならば、ワンサイズ上の上着を着たときのようなゆったりした感じ。しかし、「SNOW」モードに切り替えると、これがジャストサイズの上着を着たときのピッタリしたフィット感に激変するのです。
ABS付4輪ディスクブレーキやオールスピードトラクションコントロールなどのシステムを自動的にコントロールする「SNOW」モードでは、雪道や凍結路での安定性が増すことで、ドライバーへの負担が大きく減少します。駆動力配分は、前輪60:後輪40が基本となります。
雪道でのほんのわずかのラインのズレ、というか挙動のブレは、ドライバーが無意識下にステアリングやアクセルペダルを通じて修正を加えることになり、長時間の運転では知らぬ間に疲労が蓄積するものです。
その点、「SNOW」モードは雪道のコーナーでも「AUTO」に比べてダイレクト感があり、コーナーでの限界値が数段あがったような手応えを感じます。
雪道での長時間のドライブでは、「SNOW」モードを選択すると、ドライブ後の疲労度がかなり軽減されます。そして今回の雪上試乗のようなショートトリップでは、雪道のワインディングロードを安心して楽しく攻略することができるのです。
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今回の雪上試乗ではトレイルホークのみに設定されている「ROCK」モードを試す機会はありませんでした。おそらく、一般ドライバーが「ROCK」モードで走行しなければならないようなシーンに遭遇するのはほぼ皆無でしょう。
そうしたカスタマーにとっては、プレミアムグレードのリミテッドがオススメです。オフロードを走ることが前提となっているハードコア仕様のトレイルホークと比べ、リミテッドはフロントバンパーがボディ同色かつクロームの加飾が施されており、よりグランドチェロキーのイメージに近くなります。
シートも前後ともにセンターがパンチングされたレザーが標準装備となり、さらに高級感が増したインテリアとなります。内装にスキーグレー、外装にブライトホワイトもしくはグラナイトクリスタルメタリックを選択すれば、知的で洗練された組み合わせになります。
またチェロキーには独立懸架式のサスペンションシステムが採用されています。スムーズで静かな9段ATと、フロント:マクファーソン式ストラット/リア:マルチリンク式のサスペンションの組み合わせは、オンロードでの所作も現代的に洗練させることに成功しました。
もはや、古き佳きおおらかなアメ車のイメージはなく、欧州車に近くなったテイストは、アメリカ車を一度も所有したことのない欧州車オーナーにもすんなりと受け入れられるはずです。
もちろん、これまでジープを所有したことのあるカスタマーにとっては、セブンスロットのグリルを例に持ち出すまでもなく、ジープの伝統がきっちりと受け継がれているのでご心配なく。心ゆくまでジープの世界観を堪能することができます。
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