スマホが車の鍵になる!? 「ホンダe」から始まるスマホとクルマの新しい関係性とは
利便性以外の可能性とは?
では、スマホがキーの代わりになると、ユーザーの利便性以外にどんな可能性があるのでしょうか。
ポイントは、スマホのNFCには固有のIDが割り当てられていることです。特定のIDに特定の時間だけアクセスを許可できるから、カーシェアやレンタカーでは借りている時間だけ利用者のスマホをキーにすることができます。キーのやりとりの手間を省いたり、キーの紛失が防げるというわけです。
また、技術的には「ワンタイムキー」と呼ばれる1回だけドアを開けられる許可を与えることもできます。それを活用し、留守中に荷物の配達に来た人に対してワンタイムキーを許可し、「宅配ロッカー」代わりとして不在時の荷物をクルマのなかに届けてもらうことも実現するかもしれません。
いずれもクルマがコネクテッドカーとして通信していることが前提となりますが、スマホをキーとして活用することでクルマを便利に活用する可能性は広がります。
さらにもうひとつのメリットとして、クルマが盗まれにくいこともあげられます。NFCチップはそれぞれ固有のIDを持っていてそれをNFC通信に使うので、現在の非接触式キー車両の盗難方法のひとつである「リレーアタック」を防げるのです。
NFCではなくBluetoothを使う仕掛けもありますが、そちらも端末ごとに割り当てられたIDを持つので同様です。
ちなみに欧州ではスマホをキーの代わりとして使うことが以前から認可されており、たとえば現地向けの最新のBMWはスマホでドアロック解除が可能。さらに既定の位置(ワイヤレス充電ユニット)にスマホを置くとエンジンを始動できる機能が組み込まれています。
新技術の導入背景について、前出の国土交通省の担当者は、次のように話します。
「新しい技術の導入に関しては、安全性をしっかり見極めて認可する必要があります。今回は自動車メーカーなどからのニーズも高まってきたので、セキュリティ対策をしっかりすることを条件に機能を認めることにしました。スマホを活用し利便性を高めることで、クルマ離れを少しでも防げればと考えています」
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日本向けとしては、ホンダeが第1号車になると思われるこの機能ですが、いまや生活に欠かせないスマホでカーライフが便利になるので急速に多くのクルマに広がると予測されます。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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